インフォメーション
| 題名 | まんがでわかる 感情の整理ができる人は、うまくいく |
| 著者 | 有川 真由美(文)/ J a m(まんが) |
| 出版社 | PHP研究所 |
| 出版日 | 2021年07月 |
| 価格 | 1,320円(税込) |
あなたは、自分の感情に手を焼くことはありませんか? 自分の感情をどうすることもできず、引きずられてしまうことはありませんか? どんな仕事のスキルや成功哲学を学ぶより、自分の感情とうまく付き合うことは、人生において重要なスキルといっていいでしょう。自分の感情をどう整理していくかで、仕事のやり方も、人との付き合い方も、生き方も変わってくるのです。
人生がうまくいくか、いかないかは、感情次第といっても、過言ではありません。
人生をうまく進めていく人の共通点は、自分の感情と現実との折り合いをつけるのが、うまいこと。自分の感情は、それはそれとして受け止めて整理しつつ、現実に対しては、「あら。そうですか」と、あっけらかんと向き合っているのです。
この本では、感情を整理するための、とっておきの考え方を、まんがとともに紹介します。
引用:PHP研究所
ポイント
- 人生が思うようにいかない人は、自分の感情に振り回され、自滅していることが多い。その状態から脱却するには、感情をそのまま放置せず、自分の意思で積極的に働きかける必要があるのだ。
- 例えば瞬発的な怒りの感情を整理したいときは、「心のなかで静かに10までカウントする」、「その場から離れて自分の怒りを出す」等でクールダウンを行い、そのタイミングで「怒りの原因はなにか」「相手にどう伝えればいいか」を考えることが有効だ。
- ネガティブな感情を出さないように生きている現代人にとっては、ときには感情を解放してあげることも大切だ。悲しいときは、「もう十分、悲しんだ」というところまで感じきってみよう。そして、あとは普通に笑顔で過ごすのだ。
サマリー
はじめに
感情はなかなか変えられないものである。
頭ではわかっているが、どうしても感情に引っ張られてしまい、怒りたくないのにイライラしてしまうのだ。
人生をうまく進めている人は、こうした自分の感情と現実との折り合いをうまくつけている。
もし、受け入れられないような現実があったとしても、「それは、しょうがない」と受け入れる術を身につけて、心のわだかまりをなくしているのだ。
反対に、人生が思うようにいかない人は、自分の感情に振り回されていることが多い。
うまくいかないことのほとんどは、自分の感情による「自滅」なのである。
感情を整理するとは、心のメンテナンスをして健全な状態に保とうとすること。
そのためには、感情をそのまま放置せず、自分の意思で積極的に働きかける必要があるのだ。
怒らない人
あまり怒らない人が、怒らない理由
あまり怒らない人たちは、自分の生活スタイルを極めていたり、頼ってくる人たちの世話で忙しかったり、大きな志に向かってパワフルに進んでいたりする。
前に進む力が強ければ、マイナスの感情は弱くなっていくものだ。
だが、世の中には前に進むというだけでは解決しない怒りもある。
例えば、身の回りの些細なことで怒ることもあれば、公共の場でひどいマナー違反をしている人、自分に対して腹が立つときもある。
私たちは、自分の思い込みで世の中を見ているから腹が立つのだ。
湧きあがってきた感情を元に戻すことはできないが、整理していく努力はできる。
それだけの知恵が、私たちには与えられていると思うからだ。
怒りの感情の整理
その1 心のなかで静かに10までカウントする
衝動的な怒りも、10秒あればクールダウンする。
その後、努めて冷静に「わかりました」などとコメントし、それでも冷静でいられないときは、その場を退散しよう。
その2 その場から離れて自分の怒りを出す
ぶらぶら歩いたり、外の空気を吸って深呼吸したりしながら「あんな言い方しなくてもいいのに」などと、ひとり言をつぶやいていれば、だんだんと落ち着いてくる。
自分の怒りを自分で認めてあげることだ。
その3 「怒りの原因はなにか」と自分に問いかける
少し落ち着いてから、自分と対話してみよう。
「なんで、こんなに怒ったんだろう」「最近、疲れているからなあ」と問いかけてみると、怒りの原因が他にあることに気づくかもしれない。
その4 相手の対策を考える
反論がある場合は、相手にどうやったら伝わるか作戦を立てよう。
冷静になってからの方が良い方法が見つかるはずである。
それでも怒りが残ったら、行動と考え方を変えることで気持ちの上書きをしていくのだ。
今日から感情の整理をするヒント
感情の「上書き」をすると、うまくいく
統計的に、男性が忘れられない女性の1位は、「お金を使わされた女」だという。
「ご馳走して」「これ、買って」と甘えられて、たくさんのお金を使う(行動する)と、「それほど、この女が好きなんだ」という気になってくる(いいか悪いかは別として)。
「ワリカンにしましょう」という女性には、なんとなく気持ちが入り込めないのだ。
「行動」することによって、「感情」は後からついてくるので、「言葉」をポジティブに変えてみるのも有効な方法である。
嫌いな人のいいところをひとつだけ見つけて「○○さんのそういうところ好きだな」と、直接伝えてみると、なんとなくそんな気分になってくるのだ。
そして、「考え方」を変えるということは、今とらわれているネガティブな考え方を、自分の都合のいいように解釈することだ。
「行動」「言葉」「考え方」を変えれば、自然と新しい感情に上書きすることができるのだ。
寂しさと、つらさに負けない人
たまった感情には、心のデトックスを
悲しいときは泣き、楽しいときは笑うというように、ときには感情を解放してあげることが大切である。
特に、ネガティブな感情を出さないように生きている現代人にとっては、「感情を開く」ことは、スッキリと心地よさを感じる快楽であり、必要なことかもしれない。
家族でも、気を許せる友人でも、1人でもいいので、音楽や映画の力を借りながら「もう十分、悲しんだ」というところまで感じきってみよう。
そして、あとは普通に笑顔で過ごすのだ。
心と体をあれこれ動かしながら、ほかのことをしているうちに、悲しみの傷はだんだんと癒えてくる。
時間が味方してくれるし、周りの人が助けてくれるだろう。
「感情を開く」と「感情をしまう」のバランスをうまく使い、悲しみの感情と付き合っていくのだ。
心の張りをなくさない人
自分のために、過去を否定しない
自分の中に汚点というべき後悔があると、感情の整理がつかないままになってしまう。
過去の後悔を整理する方法として、いまの状態を良しとし、それに至るまでのプロセスだったと思うことである。
汚点も含めたすべての出来事は、すべてが今につながっているからだ。
例えば、いま恋人がいなくて幸せを感じられない状態であれば、「あの時、彼に素直になっていれば…」と、過去に執着してしまうかもしれない。
それでも、「すべてはこれで良かった」のである。
なぜなら、私たちの過去は自分の意思だけで決まっているのではなく、なるようにしかならないからだ。
そして、今の自分に100%満足できなくても、「自分はこれからもっと良くなっていく」と未来に目を向ければ、気持ちも変わり、行動も変わり、過去への執着も薄らぐのではないだろうか。
From Summary ONLINE
本書は、感情をコントロールするというよりも、「うまく付き合う」ための知恵と工夫が盛りだくさん紹介されている。
人生をうまく進めている人には「感情を整理する力」、つまり、自分の感情を認識し、受け止め、状況に応じて整えていく心のスキルがある。
これは「我慢する」ことや「感情を抑え込む」ことではなく、自分の感情と真摯に向き合う力だ。
つい放ってしまった一言が、生涯にわたって人間関係を悪化させてしまうこともある。
そのとき、「感情を整理する力」が自分にあれば、今でもいい関係を築けたかもしれないと考えてしまった。
感情の整理ができるようになるには、ちょっとしたコツが必要である。
誰でも、いつからでも心がけ次第でできるようになるので、人間関係に悩む人、仕事や育児で忙しい人、
自分を成長させたい人にも、ぜひ読んでいただきたい本である。