インフォメーション
| 題名 | こうして社員は、やる気を失っていく |
| 著者 | 松岡 保昌 |
| 出版社 | 日本実業出版社 |
| 出版日 | 2022年4月 |
| 価格 | 1,650(税込) |
社員のモチベーションを高めるためにすべきは、まず「モチベーションを下げる要因」を取り除くことである。「社員がやる気を失っていく」には共通するパターンがあり、疲弊する組織や離職率の高い会社の「あるあるケース」を反面教師に、改善策を解説。
引用:日本実業出版社
ポイント
- 「企業力」格差の原因は社員の「モチベーション」の差にある
- 周囲との関係の中で下がった「やる気」は、その職場全体の課題
- この仕事は、人生や自分のキャリアにとって、意味や意義があり、とても価値があると思える時に「自分事」になる
サマリー
はじめに
「社員がやる気を失っていく」理由や原因を知りたい。
そして、その先にある「人が自ら動き出す組織」、「人が自ら動き出す『強い会社』」にしたい。
モチベーションを下げている要因は何か。
どんなときにモチベーションを下げてしまうのか。
本書では疲弊する組織や離職率の高い会社に共通する”あるある”と、その改善策を紹介する。
企業力格差は「モチベーション」に起因する
「やる気」は個人の問題ではなく、職場の問題
「企業力」格差が広がる時代だ。
時代の流れに変化適応し続ける「強い会社」とそうでない会社がある。
外部環境の変化が激しい現在では、その傾向は顕著である。
その「企業力」格差の原因は社員の「モチベーション」の差にある場合が多い。
外部環境の変化の影響は、まず現場に現れる。
変化は現場で起こるのだ。
変化の芽を、現場の社員がキャッチする感度、それを上に伝える主体性、新しいニーズをつかむために新しいことに挑むチャレンジ精神。
どれをとっても「やる気」のない社員の集合では、実現できない。
「企業力」格差の原因は、結局「モチベーション」の差にいきつくのである。
よく「やる気」は個人の問題だと勘違いされることがある。
もちろん個人の要素もあるが、多くの場合、職場の問題である。
職場が社員の「モチベーション」を上げることも下げることもあるのだ。
「やる気」を失う場面は日常に転がっている
「やる気」が出ないのは、個人の努力が足りないからだと考える人も多い。
しかし実際は、上司や周囲との関わりや、会社の制度・処遇などの影響によって「やる気が下がってしまう」ケースも少なくない。
人が「やる気」を失っていく場面は、日常に転がっている。
「その程度のことでやる気を失うなんて、覚悟が甘いからだ」と、簡単に切り捨てられるだろうか。
周囲との関係の中で下がった「やる気」は、その職場全体の課題でもある。
そこを解決しないかぎり、「やる気」が下がる社員は出続ける可能性が高い。
「やる気」のない人が集まる負のスパイラルを断ち切る
良くも悪くも「企業文化」
働く社員のモチベーションを高める必要があるのは、単に生産性を高め、利益を上げるためだけではない。
その会社の働き方は、ひいては企業文化へとつながるからだ。
企業文化には、大きく2つの力がある。
1つは、違うタイプの人をも、いつしか同じような考え、行動に染めてしまう力だ。
もう1つは、磁石のように、似たタイプの人々を引き寄せる力である。
仕事の質や生産性が高い組織は、社員が自由に発言し、自分の意思で行動する。
このような会社は、「働きがい」を実感しやすい。
一方、仕事の質や生産性が低い会社は、「やってもやっても仕事の充実感を感じられないこと」が多く、組織は停滞し、人も疲弊して、モチベーションが下がっている。
良くも悪くも、その会社には、その組織文化にふさわしい人たちが集まり、残るのである。
「当事者意識」のある社員は「主体的」に動く
自ら考えて動く。
積極的にチャレンジする。
このような行動が習慣化し、それを大切にしている組織に共通する特徴は、社員に「主体性」があることだ。
「主体性」とは、決められたことを率先して行うというニュアンスの「主体性」とは違い、何をすべきかから自分で考え、行動し、その結果についても責任を持とうとする態度である。
社員の「主体性」が生まれる大前提となるのが、「当事者意識」である。
「当事者意識」とは、その物事に直接関係しているという自覚だ。
いわば、その物事を「自分事」として感じることである。
それによって社員は自分から進んで物事に取り組もうとするし、問題から逃げずに解決しようとするのである。
積極的で能動的な態度が生まれるのは、「自分事」になっているからこそなのである。
「当事者意識」や「主体性」の欠如した集団で起こること
「当事者意識」や「主体性」は、その会社の社員自身にかかっている。
そのビジネスをやっている当人であるという意識を、社員がどれくらい強く持っているかどうかによる。
実際に、「当事者意識」が欠如すると、仕事の押し付け合いがはじまる。
よく言う「たらい回し」は、その典型だ。
「うちの仕事の範囲ではないので、誰かがやってくれるだろう」。
そんな意識で仕事を押しつけ合う集団が、仕事の質を高め、生産性を向上できるはずがない。
仕事を「自分事」として捉えるには、仕事が会社のためだけではなく、自分のためでもあると心の底から思う必要がある。
この仕事は、人生や自分のキャリアにとって、意味や意義があり、とても価値があると思える時に「自分事」になるのである。
おわりに
モチベーションを高めるためにやるべきは、まずは「モチベーションを下げない」ということだ。
本人に悪気はないのだろうが、不用意なひと言が「やる気」を削ぎ、退職にさえつながることもある。
人間心理を徹底的に考え抜く。
新しいものを生み出すのも、新しいことに挑戦するのも、すべては「人の気持ち」次第だからである。
From Summary ONLINE
本書は、社員のモチベーションを高めるためにすべきことを解説する一冊だ。
本要約では、企業力格差は「モチベーション」に起因する点と、「やる気」のない人が集まる負のスパイラルを断ち切る点について、一部ピックアップして紹介した。
本書では、社員がモチベーションを下げる上司の行動や、組織の特徴について詳しく解説されている。
社員のモチベーションを高めたい経営者、管理職の方におすすめの一冊である。