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【新装版 現代洗脳のカラクリ】

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インフォメーション

題名新装版 現代洗脳のカラクリ
著者苫米地英人
出版社ビジネス社
出版日2023年9月
価格1,320円(税込)

洗脳社会からの覚醒と新洗脳技術の応用
メディアが刷り込む世界の常識は非常識!!

加速する洗脳社会!われわれは「目先の利益」からいかに脱却するか?
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実は、現在の洗脳は、この「目先の利益」を巧みに使っています。
なぜ、国民感情と乖離したことばかりする与党が選挙では勝つのか?
それは与党が「目先の利益」を国民の目の前にぶらさげるのに長けているからです。
「多少、倫理的に間違っていても、お金が手に入るならばありかな」
そんなふうに考えることが決して不自然ではない世の中になっています。
(「はじめに」より)

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お金の奴隷になってはいけない!
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日本人一人ひとりが情報の取捨選択をし、
目の前のお金に惑わされることなく、
冷静な判断と行動ができるようになれば、
これは回避できるはずです。
ともかく絶対に変わらないものなどないのです。
もしも、そう思ってしまっているのなら、
それは自己洗脳です。
(「おわりに」より)

2017年刊行の「現代洗脳のカラクリ」が新装版として登場!

引用:ビジネス社

ポイント

  • 広辞苑によると洗脳とは、「新しい思想を繰り返し教え込んで、それまでの思想を改めさせること」と説明されている。要するに、「情報によって他人を操作」できれば、それは洗脳行為であり、実は日常的によく行われているのだ。
  • 洗脳手法のひとつに、必要以上に恐怖をかきたて、他人の行動を操るものがある。「貧乏の恐怖」「お金を持たない恐怖」、これが現代の日本で蔓延している洗脳であり、言い換えれば、お金が一番大切というメッセージである。
  • 私たちは自分の見ている世界が現実で、目の前の世界は正しいと思っているが、それは大きな錯覚である。私たちは自分が見たいと思っているもの、重要だと判断したものしか見ていないのだ。

サマリー

洗脳の定義

広辞苑によると洗脳とは、「新しい思想を繰り返し教え込んで、それまでの思想を改めさせること」と説明されている。

要するに、「情報によって他人を操作」できれば、それは洗脳行為であり、実は日常的によく行われているのだ。

例えば、洋服屋さんで「お客様、その洋服お似合いになりますね」と言われて気分が良くなったり、会社の同僚から「今日、顔色悪いね」と言われて、具合が悪くなったりする。

人の気持ちは言葉によって簡単に変化するため、こういった日常的に交わされる言葉も情報操作なのである。

そうなると、人間の活動のほとんどすべてが洗脳、あるいは洗脳と関わりがあることになってしまうので、改めてここに記しておく。

洗脳とは「本人以外の第三者の利益のために意図的に情報操作を加えること」であり、これが正確な定義になる。

洗脳社会

私たちはすでに洗脳されている

私たちはすでに洗脳済みであり、今後も洗脳され続けるということを理解したうえで、改めて、いま自分が住んでいる世界を見回してほしい。

ここ数十年で大きく変わってしまったことがたくさんあるのに気づくだろう。

例えば、経営者の意識である。

かつての経営者は「会社は従業員のものであり、従業員の幸せなくして会社の成長はありえない」という考え方が一般的であった。

それが、現在ではブラック企業といわれる会社が上場し、大きな利益を上げている。

もの作りではなく、いかに従業員を使い捨てにするのかが考え方の基本になっているのだ。

そして、国もその考え方を後押しし、正社員になるよりは派遣社員になることをずっと推進してきた結果が、現在の所得格差社会を生む一因になっているのだ。

人々は当然勝ち組になることを望み、結果的に子育ても受験優先で、競争社会が加速していく。

こういった流れが一旦できてしまうと、人々はそこから降りるわけにはいかないと感じてしまうのだ。

社会からつまはじきにされると、「現実的にお金が稼げないかもしれない」「お金がないと不幸になってしまう」という恐怖を刷り込まれる。

恐怖の刷り込みがある以上、洗脳手法が使われていることは間違いないのだ。

お金で買えないものはあるのだろうか?

社会からつまはじきにされる恐怖とは、負け組に落ちることへの恐怖である。

もし負け組に落ちたら、当然ながら、いい生活や贅沢はできない。

これが、恐怖の本質である。

洗脳手法のひとつに、必要以上に恐怖をかきたて、他人の行動を操るものがある。

「貧乏の恐怖」「お金を持たない恐怖」、これが現代の日本で蔓延している洗脳であり、言い換えれば、お金が一番大切というメッセージである。

「拝金主義」ーーいまの日本はこの一言で説明できてしまうだろう。

世界中で格差社会が問題になっているのは「お金こそが正しい」と、富める者も貧しい者も固く信じているからだ。

しかし、お金は万能ではないし、お金で買えないものなどいくらでもある。

例えば、命はお金では買えない。

病気になれば、最も大切なものは健康や命であり、それらを押しのけてもお金が大事という人はいないだろう。

洗脳法

網様体賦活系=Reticular Activating System

私たちは自分の見ている世界が現実で、目の前の世界は正しいと思っているが、それは大きな錯覚である。

私たちは自分が見たいと思っているもの、重要だと判断したものしか見ていないのだ。

というのも、人間の脳の基底部には網様体賦活系=(RAS: Reticular Activating System)という、不要な情報をフィルターするシステムがある。

RASは特定の情報(例えば自分の興味に関する情報など)を抜き出して、あとは認識にあげないようにしているのだ

一例をいうと、男性は妻が妊娠すると街に妊婦が多いことに気づく。

当然ながら、彼の妻が妊娠する前から街には妊婦が多かったのだが、男性が妊娠に関することに無関心であったため、気づかなかったのである。

自分の妻が妊娠し、妊娠に関することに興味を持ったことで初めて、それが「見える」ようになったのだ。

人は「これが大事だ」と思わなければ、認識できないのである。

人間の世界は情報の渦だ。

重要でないものは見ているようで見ていないし、大した話でなければ聞き流すといったことをしていかなければ、脳の情報処理は追いつかない。

ゆえに、その情報が重要かどうかの取捨選択は、人が生きていくうえでなくてはならない機能なのである。

だが、そのRSAの機能こそが人を洗脳に導いてしまう。

重要な情報を認識する能力があるからこそ、人は重要な情報を見逃してしまうのだ。

洗脳されないためには

つまり、RSAは諸刃の剣なのだ。

何かを重要だと思うことは、その重要な情報を積極的に収集できるようになると同時に、その他の情報は見えなくなってしまうことがある。

そして、新たな知識を得ることもしないで、それに反する情報が出てきたら、反対するか無視するのだ。

情報が渦巻く世の中にいる私たちが洗脳されないようにするためには、「何かを簡単に重要だと思わないこと」である。

常に批判的な目を持ち、メディアの言うことを鵜呑みにしないことが大事だ。

そうは言っても、直ちに実践できるのであれば何の苦労も要らないし、洗脳される人もいなくなるだろう。

ほとんどの人が批判的な目で情報を見ることができず、メディアの言うことを鵜呑みにするので、世の中の至るところで拝金主義が横行しているのだ。

From Summary ONLINE

本書は、現代社会における「洗脳」や「情報操作」が、無意識のうちに人々の思考や行動に影響を与えている仕組みを解き明かしている。

官僚は洗脳されやすいと著者はいう。

それは、勉強するときに変性意識状態に入っているからだ。

変性意識状態は、寝食を忘れて勉強に没頭するときにあらわれ、学習効果を飛躍的に高める。

子供時代から勉強をたっぷりやってきた官僚たちは、普通の人よりも変性意識状態に入るのがうまいのだ。

しかし、このことが逆に洗脳者たちに悪用されることになる。

現に、オウム真理教の信者は一流大学出身者が多かった。

洗脳は思っていたよりずっと身近だった。

「常識」や「当たり前」を疑うことの大切さを痛感する一冊である。

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