インフォメーション
| 題名 | 50歳からの「脳のトリセツ」 定年後が楽しくなる!老いない習慣 |
| 著者 | 和田 秀樹 |
| 出版社 | PHP研究所 |
| 出版日 | 2022年11月 |
| 価格 | 990円(税込) |
脳の老化は「前頭葉」から始まり、前頭葉が老化すると、脳全体が老化する。ベストセラー著者が、前頭葉が衰えない習慣を指南!
前頭葉は意欲をつかさどる部位。意欲が衰えると、頭を使わなくなるので、脳全体が衰えてしまう。前頭葉が、脳の老化のカギを握っているのだ。
前頭葉が働くのは、経験したことがないことに向き合ったとき。いつも同じことをしていては、前頭葉は衰えてしまう。いつも同じ店でランチを食べていたり、いつも同じ著者の本ばかり読んでいるようなら、要注意だ。
「偉い人」の言う通りにしていたり、「みんながそう言っているから」と、自分で考えずにそれに従ったりするのも、前頭葉の衰えにつながる。
「前例踏襲」「みんなと同じ」「偉い人が言う通り」が蔓延する日本で、前頭葉を衰えさせずに、仕事のパフォーマンスを上げ、老後も楽しくする習慣を紹介。
引用:PHP研究所
ポイント
- 脳はかなり早い段階、40代頃から前頭葉が縮み始めることが知られている。
マンネリ化した行動ばかりしてしまう「前例踏襲思考」こそ、本当に警戒すべき老化の兆しなのである。
- どんな感情をコントロールしたいかと聞かれたら、「怒り」と答える人が多いだろう。だが著者によれば、日本人がコントロールできていない感情は、怒りよりも「不安」なのである。
- 前頭葉を使う生き方へと変えていけば、60歳以降の毎日も楽しく充実したものになる。そのために著者がすすめるのが、「毎日が実験だと思って生きる」ことである。
サマリー
はじめに
中高年になると、老後に備えて「脳トレ」に取り組む人がいる。
その多くは計算能力や言語能力を鍛えるものだが、脳の衰えを防ぐうえで重要なのは、そこではない。
計算能力をつかさどるのは脳の「頭頂葉」、言語能力は「側頭葉」、視覚などの機能は「後頭葉」である。
しかし、これらよりはるかに重要で、しかも衰えやすい部位がある。
それが「前頭葉」だ。
「前頭葉」が脳の老化の鍵を握っている
脳の老化は前頭葉から始まる
脳は前頭葉から衰え始め、前頭葉が衰えると脳全体の機能も低下していく。
脳の研究者の間では、脳で最初に縮み始めるのが前頭葉であり、それはかなり早い段階、40代頃から始まることが知られている。
・最近、同じ店ばかり行っていませんか
・同じ著者の本ばかり読んでいませんか
・新しい環境や物事に抵抗を感じていませんか
こうした「前例踏襲思考」こそ、本当に警戒すべき老化の兆しなのである。
人の名前が思い出せなくても心配しなくていい
脳の老化で一番気になるのは、記憶力の低下だろう。
「人の名前が思い出せない」など、「認知症の前触れか?」と焦る人もいるかもしれない。
だが、これは老化とはほとんど関係がない。
このタイプの物忘れは「想起障害」といい、脳に蓄積された情報が多くなり、スムーズに引き出せなくなっている状態だ。
50代ともなれば、起こって当然の現象である。
一方、心配すべき記憶障害は「記銘障害」で、新しいことを覚えられなくなる症状である。
認知症の人が、30分前にした話を忘れて繰り返したり、食事をとったこと自体を忘れたりするのは、新しい情報を書き込む力が落ちているからだ。
また、IT化に対応できなかったり、過去の成功体験にしがみついたりしている場合も、注意が必要である。
思い込みが新しいことへの挑戦を妨げている
「高齢者」と「新しさ」を結びつけて考えるビジネスパーソンは少ないようだ。
超高齢社会が日本の大きな課題であるにもかかわらず、どの業界でも高齢者というターゲットのイメージが十分に描けていない。
昔から更新されていないのである。
著者は、「そこには思い込みという枷がはまっている」と語る。
この思い込みが、新しいことを始める際のリスクを過大に見積もるという大きな失敗を招くというのだ。
例えば、著者の高齢者向けの本は、「70代・80代というワードが入ったタイトルでは売れない」という出版社側の判断から、なかなかヒットしなかった。
しかし、「六十代と七十代、心と体の整え方」が6万部のヒットとなったことで、出版社側の思い込みも解けていったのである。
この出来事は、「新しいこと」への尻込みが、見えないところで企業の足を引っ張っていることを示している。
日本人は怒りより不安をコントロールすべき
どんな感情をコントロールしたいかと聞かれたら、「怒り」と答える人が多いだろう。
感情コントロールをテーマにした書籍でも「アンガーマネジメント」は高いニーズがある。
確かに怒りをコントロールすることは大切だが、著者によれば、日本人がコントロールできていない感情は、怒りよりも「不安」である。
不安が判断を歪め、「集団から弾かれるかもしれない」「上司に睨まれるのが怖い」といった理由から、言いたいことが言えなかったり、指示に従い続けたりしてしまう。
著者は、過剰な不安は怒りに任せた暴言以上に、社会的生命が絶たれるほどの深刻な結果を引き起こす。
日本では怒りよりも不安によって破滅する人のほうが多いと述べている。
「前と同じ」「みんなと同じ」はもうやめよう!
世の中の正義が一方向に向かい、「これが絶対の正義」となっていくのは危険な兆候である。
「みんな同じであれ」という圧力は、個々の思想を抑圧するからだ。
大切なのは、たくさんの視点をもつことである。
「こうかもしれない、こうも考えられる」と考えることは、前頭葉の衰えを防ぐだけでなく、うつ病の予防にもつながる。
「こうに決まっている」から「こうかもしれない」に考え方を変えれば、人生は楽になるだろう。
選択肢は一つではない。
一度や二度、失敗しても大丈夫なのである。
「毎日が実験」と思えば、人生は楽しくなる
前頭葉を使う生き方へと変えていけば、60歳以降の毎日も楽しく充実したものになる。
脳が衰えるどころか、若い人にはない知性や広い視野、柔軟な思考を備えた、魅力的な人になれるのだ。
そのために著者がすすめるのが、「毎日が実験だと思って生きる」ことである。
例えば、ランチでは知らない店に入ったり、映画では普段見ないジャンルを選んだりして、未知の領域に足を踏み入れてみる。
もちろん、実験が失敗することもあるだろう。
しかし、「失敗するかもしれないから試さない」のではなく、わからないからこそやってみるのである。
そうすれば、人生から「退屈」がなくなる。
実験を通して、これまで知らなかった楽しいことや面白いことに出会い、自分の新たな一面を発見できるかもしれない。
著者は、「実験の毎日は、いくつになっても成長する人の基本でもある」と語る。
From Summary ONLINE
本書は、50歳を過ぎてからの脳の老化を防ぎ、定年後の人生を楽しくするための習慣を紹介している。
そのポイントとなるのが「前頭葉」であり、前頭葉の衰えを防ぐことこそが、老後を意欲的に楽しく過ごす鍵だという。
脳の老化というと、「物覚えが悪くなる」といった記憶力の低下を心配しがちだ。
しかし本書では、記憶力よりも先に「やる気(意欲)」が衰えることに着目している。
また、「脳を若く保つ=頭の体操をする」のではなく、「生き方を変える」という視点も興味深い。
新しいことに挑戦し、好奇心を持ち続けることが、前頭葉を使うことにつながるのだ。
著者が伝える「老化を恐れるのではなく、好奇心を失わないことが大切」というメッセージは、これからの人生を前向きに楽しむための活力になるだろう。
50代の人はもちろん、人生の後半を意欲的に楽しみたいすべての人におすすめしたい一冊である。