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【低資本による創業の教科書】

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題名低資本による創業の教科書
著者山下義 池田安弘 編著 船橋竜祐 福田まゆみ 吉川尚登 金子孝弘 島津晴彦 小林雅彦 森田精一 山下れい子 沼口一幸 藤島有人 原田純
出版社同友館
出版日2024年11月
価格1,800円(税込1,980円)

 

コロナ禍の時期を挟んで、社会環境の変化に伴い、DX化・AI技術の進展そして、ネット販売の拡大が進んでいる。こうしたことは「企業の事業環境の変化」であり、市場ニーズの変化でもある。この本は「自己資本が少ない創業者」を対象に、具体的な運営方法について事例を含めて解説する。

引用:同友館

ポイント

  • 市場の存在が証明されていない不確実な環境でイノベーションを起こすことを狙ったスタートアップとは違い、顧客の顕在ニーズを既存の代替品よりも効率よく解決することを目的としたスモールビシネスはコストやリスクを抑えやすい傾向があり、興味を持つ人が増えている。
  • 創業時、ビジネスプランを立てる際には「事業の方向性の検討」、「事業コンセプトの策定」、「事業計画書の作成」の3つのステップに沿って考えるのが有効である。
  • 自分のやりたいこと、自分にできること、そして世の中に求められること。この3つの要素を満たす事業は、継続できる可能性が高い。

サマリー

はじめに

平成バブル経済崩壊以降、「失われた30年」における日本の「起業率」「開業率」「創業率」は先進諸国と比較すると明らかに低くなっている。

また、「開業率」「廃業率」から作成された創造的破壊の指標と「経済成長率」には正の相関関係があるという統計データも内閣官房から公表されており、「開業率」「起業率」の顕著な低さが創造的破壊の推進を抑制し、結果的に日本に「失われた30年」をもたらしたという仮説が立てられている。

※創造的破壊とは:経済学者ヨーゼフ・シュンペンターが提唱した経済用語であり、経済成長は新たな効率的な方法が生み出されれば、それと同時に古い非効率的な方法は駆逐されていくという、その一連の新陳代謝を指す言葉

さらに、グローバルトップ10と日本のトップ10における企業の時価総額ランキングをそれぞれ2008年と2018年で比較してみると、日本の時価総額ランキングは10年の間に上位10社の顔触れの変化が乏しいのに対し、グローバル企業の比較では顔触れががらりと変わっている。

米国のランキングではアップルやグーグル、フェイスブック、アマゾンなど新しく強烈な体験を提供する「創造的破壊者」たる企業がずらりと並んでいる。

こうした現実を踏まえ、日本政府は国内にスタートアップを生み育てるエコシステムを創出し、第二の創業ブームを実現するため、2022年11月「スタートアップ育成5ヶ年計画」を決定した。

また、コロナ禍以降、副業意識の高まりとともに「スモールビジネス起業」や「プチ起業」といった身軽な起業コンセプトが広がった。

市場の存在が証明されていない不確実な環境でイノベーションを起こすことを狙ったスタートアップとは違い、顧客の顕在ニーズを既存の代替品よりも効率よく解決することを目的としたスモールビジネスはコストやリスクを抑えやすい傾向があり、興味を持つ人の数も増えている。

しかし、いくら気軽とは言え、事業を営むことには変わりない。

『低資本による創業の教科書』は日本の国力を担う起業人口を増やすことを目指し、「スモールビジネス起業」や「プチ起業」をする際のヒントや具体的な成功事例をまとめた一冊である。

創業の2ステップ

書籍の中では創業のステップとして2つの段階が紹介されている。

1つ目は、創業の基礎知識を学ぶこと。2つ目はビジネスプランを立てることである。

創業の基礎知識を学ぶとは、創業時に必要となる諸手続きについて学ぶことを指している。

例えば、会社法で認められている事業形態や許認可手続きの取得方法について確認すること、創業に伴う届出をどこにどのような形で申請する必要があるのか調べることなどがこれにあたる。

本要約では、2つ目のビジネスプランを立てることに焦点を絞って具体的な方法を紹介していく。

ビジネスプランの立て方

ビジネスプランを立てる際には、次の3つのステップに沿って考えるのが有効だ。

①事業の方向性の検討

②事業コンセプトの策定

③事業計画書の作成

このステップに沿って進めて、行き詰まったら前のステップに戻って考えることを繰り返す。

何度も考えアイデアをプランへと熟成させていくことによって、ビジネスプランが磨かれ、事業の成功率も高まっていく。

では、この3つのステップを進行していくためにはどのような考え方をすればいいのだろうか。次に一つ一つのステップを見ていこう。

①事業の方向性の検討

まず、どのような事業を創業するのか、次の3つの観点から検討していく。

1.自分のやりたいこと

2.自分にできること

3.世の中に求められること

1.自分のやりたいこと

「やりたいこと」とは一言で説明すれば、創業の動機である。具体的には、いつ、どこで、どんな経験をして創業したいと考えるようになったのか思い出してみることから始めよう。

例えば、子供の頃からDIYに興味があり、いつか自分の工務店を持ちたいと考えていた会社員の男性がいるとしよう。

やがて結婚し、子の親となった彼はリモートワークで快適に働き、ペットも飼える住宅に引っ越しをしたいと考える。だが、理想とする住宅はエリアを広げてもなかなか見つからない。

さて、この男性はこれらの経験を通じてどのような事業を始めたいと思うだろうか。

この会社員の場合であれば、家族のニーズに応えるリフォームサービスで、快適な住環境を提供したいというのがやりたいことに当てはまる。

やりたいことに対する熱意や意思は、創業してからの困難を乗り越える原動力になるため創業の段階で明確にしておくことが重要だ。

2.自分にできること

「できること」は一言で言うと、創業者自身の経歴にある。

具体的には、自分の持っている資格や知識、経験や技術、仲間や人脈、住んでいる地域の資源など、事業に活かせるものを考えてみるといい。

例えば、勤め先の建設会社で得た業界に関する知識や、建材メーカーや建築業者など業界関係者とのつながりなどがこれにあたる。

そして、それらの知識、経験、人脈、住んでいる地域の資産などを使って自分にできることは何かを考えてみる。

すると、「顧客のニーズにあった建材を選び、間取りを考え、適切な人員・資金管理によって住宅のリフォームの施工を管理できる」などのできることが浮かび上がってくる。

自分に「できること」がなければ、前述のやりたいことに対していくら熱意や意志があっても、実現することは難しくなる。

3.世の中に求められること

「世の中に求められること」は、お客様からの需要である。

具体的には、現行の製品やサービスに不満を感じることや、地域や社会全体で問題になっていることから読み解いていくことができる。

例えば、地域に既存のリフォーム業者はあるものの、最新の情報や顧客の個別のニーズに対応するサービスが不足しているという問題点があることが分かったとする。

問題点が分かったら、次にそれらの課題解決を望む人はどのような人かを考えていく。

「家をリフォームしたいと考えているが既存のリフォーム業者では対応が難しい細かい要望を持つ家族」などが潜在顧客であり、そのような人の数が多ければ多いほど、「世の中に求められること」ということができる。

自分のやりたいこと、自分にできること、そして世の中に求められること。

この3つの要素を満たす事業であれば、継続できる可能性が高い事業であるということができる。

ここまで考えてきた例では、この会社員の男性が目指す事業の方向性を次のようにまとめられる。

子育てをしながらリモートワークでペットを飼うといった家庭の細かなニーズにも適した、ポストコロナのライフスタイルに合わせた提案によって、快適な毎日を過ごせるリフォームを専門とする建設業。

②事業コンセプトの策定

事業の方向性が固まったら、より具体的に事業の内容を検討していく。

まず自社について、さらにお客様、競合についてもしっかりと分析していく。

その上で、誰に、何を、どのように提供して対価を得るのかを具体的に示す事業コンセプトを決定していく。

「自社の分析」

まずは自分自身の強みを知っている必要がある。

この分析を行う際に便利な切り口は、人、物、金、情報の4つだ。

これら4つは経営資源とも呼ばれており、事業を運営する上で必要不可欠な要素である。

「お客様、競合の分析」

事業コンセプトを策定する上では、お客様、競合を意識して、自社を客観的に分析することが重要だ。その際に活用できる分析方法の代表的なものに、SWOT分析、3C分析、ポジショニング分析がある。

自社、お客様、競合の分析ができたら、次はその内容を踏まえて、誰に何をどのように提供するのかという事業コンセプトを検討する。

事業コンセプトを決める際に重要になるのが、顧客にとってのメリットを明確にすることである。

経営学に「差別化戦略」という考え方があるように、すでに競合となる商品やサービスがある市場で新たに創業する企業の新商品・新サービスが選ばれるためには、事業コンセプトを立てる段階で、既存の商品・サービスとの差別化ポイント、つまり、顧客にとってのメリットを明らかにしておく必要がある。

③事業計画書の作成

事業計画書とは重要な経営資源の一つである「金」の計画書を指す。

特に重要な計画が、資金計画、収支計画、資金繰り計画の3つである。

資金計画とは、創業の日に向けて必要な設備資金や運転資金がいくらで、その資金をどのように調達するのかを検討するための計画。収支計画とは、創業後にどれぐらい利益が出るのかを検討するための計画。

資金繰り計画とは、事業を営む上で必要なキャッシュ、現金を継続的に確保していくための計画である。

From Summary ONLINE

本要約では書籍の中で紹介されている創業する上で必要になる「ビジネスプランを立てる方法」を紹介した。

また、本書の中では業種ごとに創業する際の具体的な費用削減方法が紹介されている。

業種別の現在のトレンドを踏まえた創業のヒントが数多く紹介されているため、今まさに創業を検討している人には特におすすめしたい一冊だ。

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