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【捨て本】

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インフォメーション

題名捨て本
著者堀江貴文
出版社徳間書店
出版日2019年7月
価格1,518円(税込)

「所有」の概念が根本から熔けていく今、一番自由な生き方とは何か。
堀江貴文、その強さは「捨てること」、そして「持たないこと」から始まった。
金、モノ、そして人。執着を捨てて今を生きる。堀江貴文が明かす、行動と思考の超整理術。

引用:徳間書店

ポイント

  • 「豊かに生きるには、モノや他人への執着を捨て、いまを生きること。他人を気にせず、自分の気持ちに従うこと、ケチにならず、分け与えることだ」
  • 「所有欲は、人には誰にでも備わっているけれど、本質的には無意味だ」と著者は断言する。
  • 捨てるべきものを多く綴る本書の中で、著者が捨ててはいけないものとしてあげたものがある。それは、「自分自身」だ。

サマリー

捨てる勇気

本書では、堀江貴文氏が40代後半までの半生を振り返り、著者なりの「捨てる論」が明かされている。

著者自身、昔はモノを大切にしてきた。

しかし、著者の人生に起こったさまざまな出来事の中で、「捨てる」作業を1つずつ繰り返し、現在の「持たない」暮らしにいたっているという。

著者は語る。

「豊かに生きるには、モノや他人への執着を捨て、いまを生きること。他人を気にせず、自分の気持ちに従うこと、ケチにならず、分け与えることだ」

”断捨離”がうまいか下手かで、移り変わりのスピードが加速度的に速くなり続ける現代における幸せの量が、大きく変わるというのだ。

本書の冒頭、著者は読者に問う。

「あなたは本当に必要なモノが何なのか、わかっていますか?」

過去を振り返る機会が少ないという著者が、これまでの半生の貴重な体験をもとに、「捨ててきたモノ」は何か、そして、捨てることで得たものが何なのか。

著者の「捨てる論」は、読者に「捨てる勇気」を与え、今よりも身軽に新しい一歩を踏み出すきっかけになるかもしれない。

所有欲

意外に感じるかもしれないが、著者には「所有欲」がない。

正確に言えば、著者にも所有欲にとらわれていた時代があったが、今は、所有しなくても自分を豊かにするいろんなものを見つけて楽しく暮らしているという。

「所有欲は、人には誰にでも備わっているけれど、本質的には無意味だ」と著者は断言する。

いままで持っていなかったものを、努力して持ったとき、その瞬間は満たされるかもしれないが、それは、「所有」の喜びではなく、「獲得」の喜びである。

獲得は報酬になるが、所有はリスクであると指摘する。

所有することで、失うことへの不安や管理の手間、執着心など、いくつものネガティブな要素を運んできてしまう。

だからこそ、そのリスクへの対処策は、「ためらわず、捨てることだ」というのだ。

人間関係

著者が捨ててきたものの中で、他人への気配りを挙げているが、本当に捨てるべきは、その根底にある「恐れ」であると強調する。

人間関係が気まずくなる恐れ、自分の立場が悪くなる恐れ、会社を辞めさせられる恐れやいじめられる恐れなど、「恐れ」「恐怖」こそが人の行動を制限しているというのだ。

だからこそ、著者が勧めるのは、本音で生きることである。

著者は語る。

「人間関係に配慮して、言いたいことを言わず、空気を読み続けることなど、エネルギーの無駄だ。仕事のパフォーマンスを高めるためにも、恐れを捨て、本音で仕事に向き合ってほしい」

「余計なものは、切り捨て、思い切り本音を言おう」

人間関係において、「お互いの価値観が異なっていることがわかる」のは、思考の質を高めるうえで、非常に大事だ。

「価値観や意見が同じである」こと自体が異常で、「価値観や意見がバラバラである」ことが普通なのだ。

著者が危惧しているのは、一緒にいて楽しくない人たちに好かれようとすることで、自分を見失ってしまうことだ。

「自分を捨ててはいけない。絶対に、いけない」と著者は強く訴えている。

人間関係において、相手からどう見られるかという「恐れ」を捨てることで、現状を変える機会は訪れるからだ。

捨ててはいけないもの

捨てるべきものを多く綴る本書の中で、著者が捨ててはいけないものとしてあげたものがある。

それは、自分自身だ。

「自分自身とは、己の存在意義のようなものだ。生きている意味を支える、心の根幹だ」と著者はいう。

自分自身を捨ててしまわない限り、誰にも奪われることのない、不朽の財産であると表現している。

著者は、ライブドア事件で有罪判決を受けた際に、弁護士側から「罪を認めて執行猶予を狙う」ことを進言されたが、断じて、それには応じず罪を認めなかった。

身に覚えのない悪行や、大きな詐欺行為を意図的に行ったという自覚を「ねつ造」することだけはしたくなかったからだという。

強い意志を持ち、決して自分自身を捨てなかったのだ。

だから著者は、「絶対に捨ててはいけないもの。それは『自分が自分であること』だ」と断言できるのである。

著者は、2004年の秋から宇宙事業に関わるようになり、開発をすすめている渦中にライブドア事件が起きた。

しかし、著者はあきらめなかった。

拘留中に差し入れられたロケットエンジンの設計図に希望を奮い立たせ、ロケットの開発資金を少しでも稼ぐために、メルマガの原稿を書いた。

数々の失敗や困難を超えて宇宙空間へロケットを飛ばすことに成功するまでに15年の歳月がかかった。

そして、さらに著者が思い描く宇宙ビジネスへと向かっている。

著者が現在に至るまで、「捨てた」ものは数えきれないほどある。

世間通念では「大事なもの」と思われているものもたくさん捨ててきた。

しかし、「自分自身」というアイデンティティを捨てなかったから、今の著者がいるのだ。

From Summary ONLINE

本書は、モノを所有することや人間関係への執着を手放すことで、より豊かに生きていくための考え方を示す一冊だ。

過去を振り返る機会が少ないという堀江氏が、幼いころから執着してきたもの、そして、捨ててきたものを、半生を振り返りながら綴られているので、興味深く惹きこまれる内容だ。

社会通念では「必要」と考えられているものの多くを著者は捨ててきた。

しかし、絶体絶命の状況にあっても「自分自身」を捨てなかった著者の信念の強靭さに感銘を受ける。

自分自身にとって本当に必要なものは何なのか、捨てるべきもの何なのか、しっかり考えてみたくなる価値ある一書である。

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