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【サクッとわかるビジネス教養 いちばんわかる 半導体】

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題名サクッとわかるビジネス教養 いちばんわかる 半導体
著者大山 聡
出版社新星出版社
出版日2026年1月
価格1,650円(税込)

現代、身の回りのありとあらゆるものに搭載され、私たちの日々の生活からビジネス、医療や教育、そして安全保障にまで関わる半導体。
しかし、社会全体を支えている存在なのにもかかわらず、その重要性は多くの人にはあまり知られていません。

本書ではニュースなどで耳にする機会の多い半導体のトピックスから、その技術やテクノロジーなどの基本情報、世界を巻き込む製造工程やバリューチェーン、世界的な覇権争いの背景まで、半導体に関する情報を総合的に紹介します。
さらに、かつては半導体製造で世界一だった日本の現状、そして半導体の未来についても考えます。

イラストや図表を豊富に使っているので、2時間あれば半導体の技術や政界情勢が理解できるはずです!

引用:新星出版社

ポイント

  • 半導体とは、電気の流れをコントロールする部品のことである。スマホやパソコンはもちろん、家電や自動車、工場の機械に至るまで、電気で動くあらゆる製品に使われており、現代社会に欠かせない基盤となっている。
  • コロナ禍の半導体不足は、需要急増や物流混乱だけでなく、「国際分業の偏り」が大きな原因であった。半導体は設計や製造などを国ごとに分担してつくるため効率的だが、生産が台湾など特定地域に集中していたため、供給が停滞し、自動車や家電が届かなくなる事態に陥ったのである。
  • 1980年代に世界首位だった日本の半導体産業はシェアを落としたものの、「材料」や「製造装置」では今も世界トップクラスである。現在はTSMCの熊本誘致やRapidus(ラピダス)の設立など、政府主導の産業再建が進んでいる。

サマリー

半導体はなぜ世界の覇権を左右するのか――現代社会を支える「小さな巨人」の正体

近年、「半導体」という言葉をニュースで目にしない日はない。

かつてはIT業界や製造業だけの話と思われていた半導体だが、現在では経済、安全保障、さらには国家戦略の中心に位置づけられる存在となっている。

スマートフォンやパソコン、自動車、家電製品はもちろん、通信インフラやAI、医療機器まで、現代社会を支えるあらゆる製品には半導体が組み込まれている。

もし半導体の供給が止まれば、多くの産業は機能しなくなり、人々の生活にも深刻な影響が及ぶことになる。

本書は、半導体の基礎知識から世界の産業構造、日本の現状、そして今後の展望までを体系的に解説した一冊である。

技術者だけでなく、これからの時代を生きるすべてのビジネスパーソンに必要な教養として、半導体を理解する重要性を説いている。

半導体は現代社会を支える「小さな巨人」

半導体とは、一言でいえば電気の流れを精密に制御するための物質、あるいはそれを利用した電子部品である。

現代では、電気で動く製品のほとんどに半導体が使われている。

スマートフォンやパソコンだけでなく、自動車、エアコン、洗濯機、通信設備、工場の機械など、私たちの生活を支える製品は半導体なしでは動かない。

さらにAIや5G、IoT、自動運転といった新しい技術の普及によって、半導体の需要は急速に拡大している。

市場規模は2030年には約1兆ドル、日本円で150兆円規模に達するとの予測もあり、世界経済を支える基幹産業として存在感を増している。

半導体は目に見えない小さな部品でありながら、社会全体を動かす「小さな巨人」なのである。

半導体には二つの意味がある

本書では、「半導体」という言葉には二つの意味があると説明している。

一つ目は、物質としての半導体である。

これは、電気をよく通す導体と、ほとんど通さない絶縁体の中間的な性質を持つ物質を指す。

代表的な材料としてシリコンがあり、現在の半導体産業の中心となっている。

二つ目は、電子部品としての半導体である。

こちらはトランジスタやダイオード、集積回路(IC)などの製品を意味し、情報処理や電力制御、通信、光の発生など、多様な機能を担っている。

普段私たちがニュースで耳にする半導体不足や半導体産業とは、この電子部品としての半導体を指している。

ロジック半導体とメモリ半導体が市場を支えている

半導体製品の中でも特に需要が大きいのが、ロジック半導体とメモリ半導体である。

ロジック半導体は、コンピューターやスマートフォンで計算や情報処理を行う「頭脳」の役割を果たす。

一方、メモリ半導体はデータを保存する役割を担い、コンピューターやサーバーの性能を左右する重要な部品である。

AIの普及に伴い、大量のデータ処理が必要になったことで、両者の需要はさらに高まっている。

しかし、半導体の製造には巨額の設備投資と高度な技術が必要であり、生産開始まで数か月を要する。

そのため需要が急増してもすぐには供給を増やせず、需給バランスが崩れやすいという特徴を持つ。

半導体不足が世界経済を揺るがした理由

コロナ禍では世界的な半導体不足が発生し、自動車や家電製品の供給が滞る事態となった。

背景には、在宅勤務やオンライン学習の普及によるパソコン需要の急増、生産工場の停止、物流の混乱など、複数の要因が重なっていた。

さらに大きな理由として、本書は半導体産業が国際分業によって成り立っている点を挙げる。

設計、製造、材料、製造装置など、それぞれ異なる国や企業が強みを持っており、一つの国だけで半導体を完成させることはできない。

この効率的な分業体制はコスト削減には有効だった一方で、特定地域へ生産が集中するというリスクも生み出した。

その象徴が台湾である。

現在、世界最先端の半導体生産は台湾企業が大きなシェアを握っており、台湾海峡で有事が発生すれば世界経済全体へ深刻な影響を与える可能性がある。

半導体は経済安全保障の中心になった

かつて半導体産業は「良い技術を作れば売れる」という市場原理で動いていた。

しかし現在では、技術力だけでなく国家安全保障の観点が極めて重要になっている。

アメリカと中国の対立が激化する中、半導体は軍事技術やAI開発にも不可欠な戦略物資となった。

各国は生産拠点の国内回帰を進めるとともに、先端半導体の輸出規制や投資支援を強化している。

半導体は単なる電子部品ではなく、国家の競争力や安全保障を左右する資源へと変化したのである。

半導体の仕組みを支えるダイオードとトランジスタ

本書では、半導体の基本的な仕組みについてもわかりやすく解説している。

半導体最大の特徴は、電気を流したり止めたりできることである。

電圧を加えたり、不純物を加えたりすることで、電気の通り道を自在に制御できるため、複雑な電子回路を実現できる。

代表的な部品がダイオードとトランジスタである。

ダイオードは電気を一方向だけに流す性質を持ち、交流を直流へ変換する役割を担う。

また、LED照明のように電気を光へ変換する用途にも利用されている。

一方、トランジスタは電流のオン・オフを切り替えるスイッチの役割を持つ。

この「0」と「1」の切り替えを膨大な回数繰り返すことで、コンピューターは高度な計算や情報処理を実現している。

さらにトランジスタは弱い電気信号を増幅する機能も持ち、スマートフォンやパソコン、通信機器など、あらゆる電子機器の性能を支えている。

日本の半導体産業は復活できるのか

1980年代、日本は世界最大の半導体生産国として圧倒的な存在感を誇っていた。

しかし韓国や台湾企業の台頭、市場環境の変化への対応の遅れなどから、現在では世界シェアを大きく落としている。

それでも日本には依然として高い競争力を持つ分野が残されている。

半導体材料や製造装置では世界トップクラスのシェアを維持しており、これらは最先端半導体の製造に欠かせない存在となっている。

さらに政府主導による半導体産業再建も進んでいる。

台湾最大手のTSMCによる熊本工場建設や、次世代半導体の国産化を目指すRapidus(ラピダス)の設立は、その象徴的な取り組みである。

Rapidusが担う日本再挑戦の切り札

Rapidusは、日本で初めて2ナノメートル世代の最先端ロジック半導体の量産を目指す国家プロジェクトである。

国内大手企業8社が共同出資し、政府も大規模な支援を行っている。

プロジェクト開始時点では、日本は40ナノメートル世代までの技術しか持たず、一気に世界最先端へ挑戦する大胆な計画として注目を集めた。

Rapidusの特徴は、その名の由来でもある「Rapid(速さ)」である。

設計支援から製造までを一体化し、開発スピードを競争力に変えようとしている。

一方で、高度な人材不足や採算性への懸念など課題も多く、日本の半導体復活の成否を左右する重要な挑戦となっている。

日本が今後強化すべき競争力とは

著者は、日本が再び半導体分野で存在感を高めるためには、単に製造能力を増やすだけでは不十分だと指摘する。

重要なのは、半導体を一つの部品として考えるのではなく、製品全体の価値を最大化する視点で設計できる人材を育成することである。

これまで日本では、システム開発と半導体設計が分断される傾向があり、製品全体を見渡すノウハウが蓄積されにくかった。

今後は、製品開発の経験を持つ技術者が半導体設計にも関わる体制を整え、製品全体の最適化を実現することが競争力向上につながると著者は提言している。

From Summary ONLINE

半導体は、現代社会のあらゆる産業を支える基盤技術である。

AIや5G、自動運転の普及によって、その重要性は今後さらに高まっていく。

一方で、生産拠点の偏在や米中対立などにより、半導体は経済だけでなく安全保障の中心的なテーマにもなった。

日本はかつて世界をリードした半導体大国だったが、現在も材料や製造装置など世界に誇る技術を持っている。

RapidusやTSMC誘致といった新たな挑戦も始まり、再び存在感を高める転換点を迎えている。

本書は、半導体の基礎知識だけでなく、その技術が世界経済や国家戦略にどのような影響を与えているのかを理解できる一冊である。

半導体を知ることは、これからのビジネスと世界の動きを読み解くための重要な教養となるだろう。

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