インフォメーション
| 題名 | 1分で心が震えるプロの言葉100 |
| 著者 | 上阪 徹 |
| 出版社 | 東洋経済新報社 |
| 出版日 | 2021年8月 |
| 価格 | 1,650円(税込) |
経営者から芸能人まで3000人の取材で感動して今も忘れられない言葉を選りすぐったプロの仕事論!コロナ後の新しい働き方の指針!
引用:東洋経済新報社
ポイント
- 仕事の選び方について作家の浅田次郎氏は、「好きになれそうな仕事」を選び、自分から好きになってみることだと語る。人間は「思い込み」で生きていける側面が大きいため、「これが好きだ」と思い込むことも一つの方法である。
- ジャーナリストの田原総一郎氏は、「たとえ合わない仕事でも、まずは3年間一生懸命取り組むこと」という。「嫌だから」という理由だけで辞めてしまうと、やりたいことが見つからないまま、次の職場でも同じ失敗を繰り返しかねないからである。
- ソフトバンクの創業者・孫正義氏の人生のテーマは、「志高く」である。孫氏はこの言葉に、「自分の商売や会社経営という個人的な次元で終わってはいけない」と強く心に刻んだ。ソフトバンクが飽くなき挑戦を続けている原動力は、この高い志にあるのだ。
サマリー
やりたいことをどう見つけるか
浅田 次郎:作家
作家・浅田次郎氏は、「鉄道員」「壬生義士伝」「中原の虹」など、数々の名作を世に送り出した直木賞作家であり、デビューは40歳だった。
10代の頃は、「自分は間違いなく天才だ」と思っていたそうだ。
しかし、現実は思い描いたようにはならなかった。
浅田氏は、「そういうものなんですよ。才能はみんな持っているけれど、才能は汗をかかせてこその才能。それを忘れないでほしい」と語っている。
ただ、それ以上に大切なのは、「好きであること」だという。
仕事をどう選ぶべきかと問われたら、やはり好きなことをしたほうがよいが、世の中では必ずしも好きなことを仕事にできるとは限らない。
そこで浅田氏は、「選んだ仕事を好きになってみることです」と語る。
好きになれそうな仕事を選び、自分から好きになってみる。
人間は「思い込み」で生きていける部分が大きいため、好きだと思い込めばよいという。
「思い込み」は、人生を有意義に過ごすための道具の一つなのである。
運やチャンスをどうつかむか
北尾 吉孝:SBIホールディング社長
野村証券から49歳でソフトバンクへ転身したことは、大きな話題となった。
資産調達やM&A、海外業務など、野村証券で培った経験はソフトバンクの事業拡大に生かされ、その後のさまざまな経験も、現在の経営につながっている。
北尾氏は、「人は生まれたときから、この世で果たすべき使命、すなわち天命を与えられている」と語る。
そして振り返ると、それまでに起きた出来事はすべて、その天命へ向かうために必要な経験だったと感じたという。
「君子は義に喩(さと)り、小人は利に喩る」という言葉がある。
正しいことを貫き、人間性を磨き続けることは、すぐには報われないかもしれない。
しかし、諦めずに歩み続ければ、その努力はいつか必ず実を結ぶのである。
真の力をいかに発揮するか
日色 保:日本マクドナルド社長兼CEO
新卒でジョンソン・エンド・ジョンソン日本法人に入社し、地方拠点の営業職からキャリアをスタート。
その後、歴代最年少で社長に就任し、2018年に日本マクドナルドへ転じた。
日色氏は、「経営に不可欠な視点は、極論すると2つしかない。本当にそうなのか。どうしてそうなのか」と語る。
常にこの2つを問い続け、突き詰めていけば、ほとんどの問題の答えは見えてくるという。
また、何かを考えたり判断したりするときは、どんな情報でも徹底的にインプットすることを大切にしている。
情報が増えるほど思考の解像度が上がり、細かな点まで鮮明になって、突破口が見えてくるからである。
一方で、最も怖いのは「わかったつもり」になることだという。
ビジネスを理解した気になると、自分なりの結論に飛びついてしまい、そこに大きな落とし穴がある。
だからこそ、「本当にそうなのか」「どうしてそうなのか」と問い続けることが大切なのだ。
そうすることで、自分の仮説の矛盾や思い込みにも気づけるようになる。
苦況をいかに乗り越えるか
田原 総一郎:ジャーナリスト
田原氏は、自身の人生を「挫折とコンプレックスの連続だった」と振り返る。
「就職して企業に入ると、職場が面白くないと思うでしょう。でも、自分はまだ何も知らないのだから、面白いはずがないんです。」
野球のルールややり方を知らなければ楽しめないのと同じように、仕事も知らなければ面白さはわからないと田原氏はいう。
そして、「職場を楽しくしようと考えることが大切です。自分も周りも楽しめるように努力すれば、必ず認められる。
その意識を持ち続ければ、自分が本当にやりたい仕事も見えてくる」と語る。
たとえ自分に合わない仕事だと感じても、まずは3年間、一生懸命取り組んでみることが大切である。
辞めること自体は決して悪くない。
しかし、「嫌だから」という理由だけで辞めてしまうと、やりたいことが見つからないままになってしまう。
そのままでは、次の仕事でも同じことを繰り返しかねないのである。
ビジネスで成功する人は何が違うのか
孫 正義:ソフトバンク創業者
今や日本を代表する企業となったソフトバンク。その創業者・孫正義氏の人生のテーマは、「志高く」である。
この言葉を教えてくれたのが、恩師である野田一夫氏(経営学者・事業家)だった。
野田氏は、「夢とは、個人の願望にすぎない。しかし、多くの人々の夢をかなえようとする気概こそが『志』である。
志とは、厳しい未来への挑戦なのだ」と語った。
さらに、「夢を追う程度の男になってはいかん。志を高く持て」と諭したという。
この言葉に大きな衝撃を受けた孫氏は、「事業は高い志を持たなければならない。自分の商売や会社経営という個人的な次元で終わってはいけない」と強く心に刻んだ。
ソフトバンクが飽くなき挑戦を続けている原動力は、この高い志にあるのである。
本当の幸せをどうつかむか
渡辺 淳一:作家
数々のベストセラーを世に送り出した渡辺淳一氏が晩年に取り組んだテーマが、「サラリーマンという職業に潜む落とし穴」であった。
多くの人は、定年後は自由で充実した人生が待っていると考えている。
しかし、実際には生きがいを失い、孤独や虚しさに直面する人も少なくないという。
やるべきことがなく、何をしてよいかわからない。
毎朝、今日はどこへ行こうかと悩み、家にいれば妻にも疎まれてしまうという現実がある。
渡辺氏は、「自分だけはそんな存在にならないと思っている人は多い。しかし、実際にうまく対応できている男性は極めて少ない」と語る。
著書『孤舟』の執筆にあたり、多くの定年退職者に取材を重ねたが、定年後の孤独を予想していた人は、ほとんどいなかったという。
だからこそ、会社以外の人間関係を築いておくことが大切である。
そして、夫婦も共同生活のパートナーとして、お互いを思いやりながら暮らす努力が欠かせない。
「あるべきなのは愛ではなく、親しみや安心感。いかにうまく、そこに移行できるかです。」
若い頃から仕事だけでなく、人とのつながりや家庭を大切に育んでいくことが、本当の幸せにつながるのである。
From Summary ONLINE
本書に登場するプロたちの言葉からは、第一線で成果を出し続ける人に共通する姿勢が見えてくる。
すべては自分次第という厳しい覚悟や、地味なルーティン、基礎を大切にする姿勢。
壁にぶつかったときも、「どうすれば乗り越えられるか」へ思考を瞬時に切り替える、しなやかさを持っていると感じる。
また、自分の名誉や利益のためだけでなく、「誰かのために」「社会のために」という強い想いも共通している。
1分で読めるようコンパクトにまとめられているが、一つひとつの言葉に経験に裏打ちされた重みがあるため、心に深く残る。
表面的な名言集とは一線を画す、「言葉の重みとリアリティ」が詰まった一冊である。