インフォメーション
| 題名 | さよなら 統合報告書 |
| 著者 | 株式会社ウィルズ 株式会社パンハウス |
| 出版社 | 宣伝会議 |
| 出版日 | 2026年6月 |
| 価格 | 2,200円(税込) |
「統合報告書」という“形式”に別れを告げ、未来を共創する“対話”へ。
東大 松尾研発スタートアップ × IR支援のリーディングカンパニーが提唱する、
最先端AIによる企業報告の変革「RX3.0」の全貌。
現在、日本企業の統合報告書発行数は1,200社を超え、10年前の約6倍に急増している。しかし、その裏側では多くの企業が「制作の重圧」という構造的課題に直面し、統合報告書の発行には大きな壁がある。さらに、統合報告書を発行している企業においても、100ページを超える「成果物」を作ることに追われ、本来の目的である投資家との「対話のツール」として機能していないという現実がある。
本書は、IR支援のプロフェッショナル集団「ウィルズ」と、最先端のAI実装を担う「パンハウス」による共同プロジェクトから生まれた、企業報告の再定義を試みる一冊である。
AIによる構造化データ、自動翻訳、ナラティブ生成、そして双方向の「共創プラットフォーム」がもたらす、リアルタイムな対話の未来を提示。企業報告の新たな在り方「RX:Reporting Transformation3.0」の全体像を明らかにする。
IR担当者はもちろん、企業の長期的価値を築きたいと考えている企業にとって必読のバイブル。
引用:Amazon
ポイント
- 統合報告書とは、企業が財務情報と非財務情報を統合的に開示し、長期的な価値創造のストーリーを投資家へ伝えるための報告書であり、企業と投資家の「対話の質を高める」重要なツールであると著者はいう。
- 著者は、AIを統合報告の変革を支える中核技術と位置付けている。AIは単に文章を作成するための道具ではなく、企業の統合思考を可視化し、ともに企業報告を育てる「共創パートナー」であるという。
- 著者は、AI時代における新たな企業報告の姿として「RX(Reporting Transformation)3.0」を提唱している。
サマリー
企業報告の役割とは
本書は、統合報告書の課題を指摘するだけではなく、企業報告の再定義にむけた思考を段階的に整理している。
統合報告書とは、企業が財務情報と非財務情報を統合的に開示し、長期的な価値創造のストーリーを投資家へ伝えるための報告書であり、企業と投資家の「対話の質を高める」重要なツールであると著者はいう。
近年、日本では統合報告書を発行する企業が1,200社を超えるまでに増加した。
一方で、その制作には膨大な時間と労力がかかり、「報告書を作ること」が目的化するという課題も生じている。
本来は投資家やステークホルダーとの対話を深めるための手段であるにもかかわらず、その役割を十分に果たせていない企業も少なくないのだ。
著者は、IR支援会社ウィルズとAIスタートアップのパンハウスによる共創プロジェクトをもとに、生成AI時代にふさわしい企業報告のあり方を提案している。
統合報告書が抱える課題を整理するとともに、AIの活用によって企業報告がどのように変化していくのか、その未来像を示していく。
統合報告書に付きまとう構造的課題
統合報告書は、企業の長期的な価値創造を伝えるための重要な手段である。
しかし、その制作現場では多くの負担が生じている。
著者は、統合報告書の制作における課題を「時間」「内容」「表現」の3つに整理している。
「時間」の課題は、制作に長い時間を要するため、更新頻度に限界があり、発行時には情報が古くなりやすい点である。
「内容」の課題は、データの網羅性を確保する難しさに加え、部門ごとに情報が分断される「サイロ化」によって、企業全体を統合的に捉える視点が反映されにくいことである。
「表現」の課題は、経営者の本音や思いが十分に伝わらず、無難で形式的な内容にとどまってしまうケースが少なくない点にある。
著者は、こうした状況によって、統合報告書が本来の目的である「対話のためのツール」から離れ、完成させること自体が目的になりやすいと指摘する。
つまり、課題は単に制作負担の大きさではなく、企業価値を伝える情報開示が、読み手との対話につながりにくい構造そのものにあるのである。
変わり始めた統合報告書
著者は、統合報告書が抱える課題は、生成AIの活用によって大きく改善できると述べている。
AIは、企業が保有する膨大な情報を構造化し、必要なデータを迅速に整理・分析することで、これまで多くの時間を費やしていた制作業務を効率化できるからだ。
さらに、AIは企業が伝えたい価値創造のストーリーを、多様な立場や関心を持つ読み手に合わせて柔軟に届けられるようになる。
従来のように、一冊の報告書ですべての読者に対応するのではなく、必要な情報を必要な人へ届ける企業報告へと進化していくのである。
著者は、統合報告書は「投資家への説明資料」から「社会との対話メディア」へと姿を変えつつあるという。
企業が投資家や社員、社会との対話を通じて課題を共有し、ともに解決策を模索するプロセスそのものが、新たな価値創造の物語になる。
そして企業報告は、完成したドキュメントではなく、「変化し続ける関係の記録」として継続的に育まれていくものになると展望している。
AIと育てる企業報告のカタチ
著者は、AIを統合報告の変革を支える中核技術と位置付けている。
AIは単に文章を作成するための道具ではなく、企業の統合思考を可視化し、ともに企業報告を育てる「共創パートナー」であるという。
しかし、AIの活用はシステムを導入するだけでは実現しない。
制作パートナーや技術企業と連携しながら、AIの設計・運用・検証を一体的に進めるとともに、「責任あるAI報告」を実現するための仕組みづくりが不可欠である。
本書で紹介される共創プロジェクトでは、社内のAI研修から始め、実証実験を重ねながら新たな企業報告の仕組みを構築してきた。
情報の整理やナラティブ生成、自動翻訳などを段階的に導入し、人とAIが役割を分担する体制づくりを進めている。
著者は、企業報告の質を高めるためには、AIを置き換えの手段としてではなく、人と協働するパートナーとして活用することが重要だと述べている。
RX(Reporting Transformation)3.0
著者は、AI時代における新たな企業報告の姿として「RX(Reporting Transformation)3.0」を提唱している。
これは、統合報告書という一冊の成果物を完成させることを目的とするのではなく、企業と投資家、社員、社会が継続的に情報を共有し、ともに価値を創造する企業報告への転換を目指す考え方である。
その実現には、AIによる情報の構造化や分析、ナラティブ生成、自動翻訳などの技術を活用しながら、人が意思決定や価値判断を担うことが重要となる。
また、企業活動が社会へ与える影響を評価し、その成果を継続的に発信・改善していく仕組みづくりも欠かせない。
著者は、企業報告は単なる情報開示ではなく、企業と社会をつなぐコミュニケーション基盤へと進化していくと述べる。
RX3.0は、AIと人がそれぞれの強みを生かしながら企業価値を高め、長期的な信頼関係を築くための新たな企業報告のモデルである。
本書は、「統合報告書」という形式を見直すだけでなく、AI時代にふさわしい企業報告の新たな指針を提示している。
From Summary ONLINE
本書は、統合報告書の課題を整理するだけでなく、AI時代における企業報告の未来像を提示した一冊である。
AIを単なる業務効率化のツールではなく、企業と投資家、社会との対話を深める「共創パートナー」と位置付けている点が印象的だ。
企業報告を「完成した成果物」ではなく、継続的に価値を育てるコミュニケーション基盤として捉える視点は、多くの気づきを与えてくれる。
IR担当者や経営者はもちろん、情報開示や企業価値の向上に関わる実務担当者、AIが企業経営にもたらす変化に関心のある人にもおすすめしたい一冊である。