インフォメーション
| 題名 | 新規大型案件を獲得できる最強の営業メソッド |
| 著者 | 北澤 治郎 |
| 出版社 | 同友館 |
| 出版日 | 2019年04月 |
| 価格 | 2,750円(税込) |
中小企業には、大企業から大型案件に関する提案依頼や問い合わせはなかなか来るものではありません。飛び込み営業をしようにも、昔と違って企業のセキュリティは強化され、お客様の受付カウンターを突破することもできません。そうした悩みに本書は大型案件獲得に特化した営業方法を解説しています。クライアントにおける課題の顕在化など、顧客との面談に使う質問技法やソリューション営業のプロセスを提示しています。
引用:同友館
ポイント
- 大型案件を獲得する営業スキルを身につけることで、AI時代でも人間ならではの価値を発揮できる。
- 大型案件を獲得するには、お客様も気づいていない課題を見つけることが重要である。そのために著者は「POLO法」と「CMBOI法」を開発した。これらは商品を売り込むのではなく、お客様と課題を整理する手法であり、自然に提案へつなげられるのである。
- 課題発見型営業には、業界や顧客への理解が欠かせない。そのため、日頃から情報収集を行い、新しい業界では専門資料などで知識を深めることが重要である。また、顧客理解の手法として「3C分析」も紹介している。
サマリー
大型案件を獲得する営業は何が違うのか。課題発見型営業の重要性
営業の世界では、大型案件を獲得できる人材は高く評価される。
しかし、本書が伝えたいのは単なる売上規模の話ではない。
大型案件を獲得するための営業スキルを身につけることで、AIやシステムによる代替が進む時代においても、人間ならではの価値を発揮できる営業になれるという点である。
著者は長年にわたり日本IBMの営業部門で活動し、大型案件の発掘を専門とする業務にも従事してきた。
その経験から導き出したのが、お客様の課題発見を支援しながら案件を創出する「課題発見型営業」である。
大型案件と小型案件では営業の役割が異なる
一般的な小型案件では、お客様はすでに課題と解決方法を認識している。
そのため営業担当者に求められる役割は、価格や納期などの条件を調整し、効率的な購買を支援することである。
一方で大型案件はまったく異なる。
多くの場合、お客様自身が課題を明確に把握できていない。
仮に課題を認識していても、その解決方法までは見えていないケースが少なくない。
実際、著者は多くの企業で「自社の課題がよくわからない」「異動してきたばかりで部門の問題点が見えない」といった相談を受けてきたという。
企業を取り巻く環境が複雑化し、変化のスピードも加速するなかで、経営課題を正しく整理すること自体が難しくなっているのである。
だからこそ、大型案件を獲得する営業には、商品を売る前に課題を見つける能力が求められる。
課題発見型営業が大型案件を生み出す
従来の営業は、お客様からの問い合わせを起点として活動することが多かった。
しかし、この営業スタイルには大きな限界がある。
第一に、問い合わせが減少しても営業側から状況を打開することが難しい。
第二に、大型案件は待っているだけではほとんど生まれない。
大型案件を獲得するためには、お客様がまだ認識していない課題を発見し、その解決に向けた議論を主導する必要がある。
そのために著者が開発したのが「POLO法」と「CMBOI法」である。
POLO法は「Pursuit Of Large Opportunity」の略であり、お客様の課題発見や課題整理を支援することで大型案件の機会を発掘する手法である。
一方のCMBOI法は、成熟度診断を活用して課題を可視化し、案件機会を発見する手法である。
これらの手法に共通する特徴は、営業活動の初期段階からお客様に価値を提供できる点にある。
商品説明や売り込みではなく、課題の整理そのものを支援するため、お客様の警戒感を和らげながら提案機会を創出できるのである。
課題発見営業に必要な4つの能力
課題発見型営業を実践するためには、従来の営業とは異なる能力が求められる。
第一は「課題発見・整理力」である。
お客様自身が気づいていない問題を発見し、整理しながら本質的な課題を明らかにする力が必要となる。
第二は「コミュニケーション力」である。
信頼関係を構築しながら、お客様の本音や悩みを引き出さなければならない。
第三は「案件を見極める力」である。
課題の重要度や予算の有無、意思決定者の存在、導入スケジュールなどを把握し、案件化の可能性を評価する必要がある。
第四は「競争優位性を示す力」である。
競合他社との差別化ポイントを明確に説明できなければ、大型案件を受注することは難しい。
これらの能力は単なる商品知識では代替できないため、人間ならではの営業価値につながる。
顧客理解を深めるための分析手法
課題発見型営業では、お客様の事業や業界への深い理解が欠かせない。
営業担当者は、日頃から業界動向や経済ニュースに触れ、情報収集を習慣化する必要がある。
新しい業界を担当する場合には、業界分析資料や専門資料を活用しながら知識を補強しなければならない。
また、本書では顧客理解のためのフレームワークとして「3C分析」を紹介している。
3C分析とは、
- Customer(市場・顧客)
- Competitor(競合)
- Company(顧客企業)
の3つの視点から企業を分析する方法である。
市場環境や競争状況を理解することで、お客様が抱える課題や将来の方向性をより正確に把握できるようになる。
さらに、企業のビジョンや中期的な経営目標を理解することも重要である。
企業が目指す将来像を把握することで、現在抱えている課題とのつながりが見え、より価値の高い提案が可能になる。
効果的なヒアリングと提案の進め方
課題発見営業では、質問力が成果を大きく左右する。
本書では代表的な質問技法として「SPIN」を紹介している。
SPINは次の4種類の質問で構成される。
- Situation(状況質問)
- Problem(問題質問)
- Implication(示唆質問)
- Need Payoff(解決質問)
状況を確認するだけでなく、問題が放置された場合の影響を考えてもらい、解決への必要性をお客様自身に認識してもらうことが重要である。
また、解決策を検討する際には「KOPT」というフレームワークも有効である。
KOPTは、
- Knowledge(知識・スキル)
- Organization(組織)
- Process(業務プロセス)
- Tool(ツール)
の4つの観点から解決策を考える方法である。
多くの営業担当者はツールやシステムの提案に偏りがちだが、本質的な課題解決には人材育成や組織改革、業務プロセス改善も必要になる場合が多い。
KOPTを活用することで、より包括的な提案を行えるようになる。
大型案件を見極めるためのBANT条件
案件化の可能性を判断するためには、BANT条件の確認も欠かせない。
BANTとは、
- Budget(予算)
- Authority(決裁権者)
- Needs(必要性)
- Timeframe(導入時期)
を意味する。
特に大型案件では、課題が明確であっても予算や意思決定体制が整っていなければ受注にはつながらない。
そのため営業担当者は、初期段階からこれらの情報を継続的に収集し、案件の実現性を評価していく必要がある。
From Summary ONLINE
大型案件営業の本質は、商品を売ることではなく、お客様の課題を発見し、その解決を支援することである。
企業を取り巻く環境が複雑化するなか、多くのお客様は自らの課題を十分に把握できていない。
そのような状況において価値を発揮するのが課題発見型営業である。
顧客理解を深め、適切な質問によって課題を整理し、組織や業務プロセスまで含めた解決策を提示できる営業こそが、大型案件を獲得できる。
AIや自動化が進む時代だからこそ、人間ならではの洞察力や対話力を活かした営業の重要性はますます高まっていくのである。