インフォメーション
| 題名 | コスパ悪いほうが人生は上手くいく |
| 著者 | 山﨑 幸治 |
| 出版社 | フローラル出版 |
| 出版日 | 2025年8月 |
| 価格 | 1,870円(税込) |
書店関係者必読の一冊!
本屋の三代目が書いた「生き残り」戦略とは?
「効率」や「損得」で人生を測る“コスパ主義”が広がる今、あえて「コスパが悪い」選択をしてみませんか?
本書は、埼玉・朝霞で本屋を営む三代目が、書店という「コスパ悪い」業界を通じて見えてきた「本当の豊かさ」や「人とのつながり」について綴った1 冊です。
家庭・学校・職場に次ぐ“第4 の居場所”として誕生したコミュニティ拠点【CHIENOWA BASE】での実践と出会いをもとに、「地域と共に生きる」という視点から、人生の新しい選択肢を提案します。
「非効率」だからこそ見つかる「豊かさ」や「可能性」を実感しましょう!
第1章 なぜコスパ悪く生きた方が得なのか
第2章 街の本屋が街の中心に
第3章 これからの時代は未来を見据えた経営が必要
「コスパ」について原点回帰し、人生を豊かにするメソッドを試してみませんか?
引用:フローラル出版
ポイント
- 「効率」や「損得」で物事の価値を判断する“コスパ主義”が広がっている。しかし、コスパ至上主義の人が出会えるのは「あらかじめ想定された体験」である。
- 一見無駄や遠回りに思える道中にこそ、人生の豊かさや思いがけない面白さが潜んでいる。
サマリー
音声で聴く
はじめに
本書の著者は、埼玉県朝霞市で本屋を営む三代目だ。
著者は、書店という「コスパ悪い」業界に身を置きながら、地元に根差した地域活動を展開し、朝霞エリアの人づくり・まちづくりに奔走する。
生活用品をはじめ様々なモノの値段が上昇しているのに、給料は変わらない。
誰もがお金を使うことに対しシビアになっている世の中で、「コスパ=コストに見合うパフォーマンスが得られるか否か」という視点に重きが置かれるようになるのは自然なことであろう。
その延長線上に登場した「タイパ」という言葉も含め、物事の価値判断の最優先事項に費用対効果を上げる人は少なからず存在する。
本書は、本業である本屋を中心として地元のまちづくりに身を賭してきた著者が、自身の半生を振り返りながら「コスパ至上主義」の行動原理に疑問を投げかける一冊だ。
なぜコスパ悪く生きたほうが得なのか?
誰にとっても時間とお金は有限であることは、紛れもない事実だ。
そのため「自分がかけた時間やお金に見合うだけのメリットを得られるかどうか」、つまりコストパフォーマンスの良し悪しで物事を判断することはとても大切な視点である。
特にビジネスの世界においてはコスパやタイパは重要な概念であり、AIをはじめとする様々なデジタルツールを導入し効率的に業務を遂行することは今や基本中の基本であろう。
しかし、人間関係や人のこころに関連する場面にすら「コスパ」を主軸に判断をしていないだろうか、と著者は疑問を投げかける。
私たちは、時間もお金も有限だからこそコスパが大切であることを知っている一方で、自分が得られるメリットの大きさのみを追求して行動するいわゆる「自分勝手」な存在は仲間から疎外されることもよく知っている。
コスパを優先で考える場面と、コスパではなくこころを優先して考える場面のバランスを理解して行動すべきである、と著者は提唱する。
「急がば回れ」「損して得取れ」という古い格言があるように、短期的な損得では測れない豊かさや知恵というものが、この世には必ず存在する。
行き過ぎたコスパ重視は、結果的に損をするのである。
街の本屋が街の中心に
著者は埼玉県朝霞市にある書店「一進堂」の三代目だ。
戦後、著者の祖父がリヤカーで仕入れてきた本を店頭に並べたところからこの本屋はスタートした。
二代目には8店舗に事業を拡大したが、時代が進みゆく中で最後には朝霞駅構内の1店舗となった。
現在は朝霞駅のほど近くに「チエノワベース」の名称で移転し営業を続けている。
このチエノワベースは、単なる書籍販売の場ではなく、ギャラリースペースやワークスペースを備えたコミュニティスペースとして、地域の「知の拠点」「人づくりの場」となることを目指して2023年にオープンした複合施設だ。
著者は、地域社会と緊密につながることで地域のキーパーソンたちに出会い、共に汗を流す地域の仲間たちが自然と集まる形で「朝霞をより住みやすい街にする」という目標に向かって歩み始めたのである。
街づくりには制度や仕組みだけが必要なのでなく、情熱と信頼でつながる「人」が不可欠なのだ。
著者は現在、チエノワベースを拠点に企業向け読書会型ワークショップ「ワンブックシェアリング」を開催したり、子どもたちが地域の面白い大人や多様な本の世界と出会う機会を提供している。
一方で、コロナ禍で全国の商店街が大ダメージを受けた2020年には朝霞駅前商店会会長に就任し、「アサカストリートテラス」と題した官民連携の商店街活性化イベントを成功させるなど、本屋でありながら「地域にとって必要不可欠な存在になること」を目指し多方面で活動している。
地域を支える様々な団体や組織に所属し活動する中で、変化を嫌い新しい意見に反対する年上の先輩方との付き合い方には苦労をした、と著者は語る。
しかし、価値観の異なる相手や目上の人とのやりとりを「コスパが悪いから」「面倒だから」「割に合わないから」と断っていては成し得ない物事が確かにあるのだ。
結局のところ、コスパ至上主義が存在する現代において、私たちが本当に向き合うべきなのは、目先の損得で物事を判断することへの虚しさなのかもしれない。
年齢も経歴も属性も異なる人々が、互いの立場や経験に敬意を払いながらより良い未来へ舵を切るためにはどうしたらよいのか。
それを共に考えることこそが重要であろう。
それは「コスパ」という判断基準に照らすと非常に効率の悪いやり方であるかもしれない。
しかし、丁寧な対話と試行錯誤の中にこそ、世代を超えて共有できる価値が生まれ誰もが心から納得できる新しい光景が生まれるのではないだろうか。
街づくりで人づくり
著者が関わる団体のひとつに、地域在住の大学生チーム「アサカシティラボ」がある。
朝霞に住み朝霞に関心を持つ学生たちが、行政や地元企業の協力を得ながら飲食・福祉・教育・イベント・デザインなど様々な分野の企画を立て、自ら運営を担う団体だ。
これまで取り組んできた街づくり活動を次の世代に少しずつ引き継いでいくために始めたこの活動で、著者は若者たちの自主性を尊重するとともに、各々の行動にはそれなりの責任が伴うことを理解してもらうことを目指している。
彼ら大学生が社会人になれば、不透明な慣習や複雑な人間関係に出会うことも、理不尽で不平等な扱いを受けることも時にはあるだろう。
そんな現実の中で、どのように落としどころや未来の方向性を見つけていくのかを今一度じっくりと考えてほしいと著者は語る。
手っ取り早さや効率ばかりを追い求める人生から一歩距離を取って、冷静に現実を受け止め自分のできることを前向きに探すしなやかな強さを身につければ、きっと「人生そのもののパフォーマンス」が上向いてくるのだ。
From Summary ONLINE
大手企業の営業マンから小さな書店の経営者へジョブチェンジした著者の半生は、職場の人間関係や地方の閉塞感に悩む読者にきっとヒントをもたらしてくれるはずだ。
昔ながらの書店を応援する人、都市部近郊の街づくりに興味がある人にもぜひ手にとってもらいたい一冊だ。