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【何でもまわりのせいにする人たち】

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題名何でもまわりのせいにする人たち
著者小日向 るり子
出版社フォレスト出版
出版日2025年8月
価格1,210円(税込)

【まわりを困らせる
「他責グセ人間」の精神構造と対処法】

「このミスをしたのは、私じゃなくて、あの人のせい」
「今、私が不幸なのは、親のせい」
「給料が安いのは、会社のせい」
「この失敗は、ちゃんと教えてくれなかった上司のせい」
「私がちゃんと働けないのは、政治が悪いから」

このように、
トラブルの原因や責任を
何でも他人や環境のせいにする人、
あなたのまわりにいませんか?

そんな人を
「他責思考」な人
と呼びます。

心理学的見地からは、
「他責思考は、
自己責任を回避し、
失敗や問題から自分を守るための
防御機制の1つで、誰にでもある思考」
といわれています。

問題は、他責思考が強いかどうか。

他責思考が強いと、
次のようなデメリットを生み出します。

◎自己成長の機会を失う。
◎人間関係が悪くなる。
◎チームを乱す存在になる。
◎ストレスが増える。
◎攻撃的な言動が多くなる。
◎変化への対応が遅れる。

そんな残念な「他責思考」が生じる
心理的メカニズムとともに、
他責グセのある人の特徴や対処法、
まわりの人が他責に巻き込まれないために、
他責思考の人とどう向き合い対処すべきかを
徹底解説したのが本書です。

著者は、
「他責思考」をはじめ、
心の不調や悩みを抱える
6500人超の心のサポートをしてきた
産業カウンセラー。

著者いわく
「精神的に一番安定し、理想的なのは、
ほどよく自責、ほどよく他責」。

この理想形を目指すために、
本人はどうすればいいのか、
まわりの人はどのように対処すればいいのかを、
事例を交えながらわかりやすく解説します。

引用:フォレスト出版

ポイント

  • 他責思考は特別な悪癖ではなく、人間が本能的に持つ自己防衛の一つである。あらゆる物事を自分の責任だと考えすぎると、心は壊れてしまうからだ。自責と他責のバランスをうまく保つことが理想的な思考であり、問題となるのは、そのバランスが崩れたときなのである。
  • 他責思考は自分で気づくことが難しく、無意識のうちにパターン化してしまうため、誰かに指摘されない限り気づけないことが多い。他責思考が進むと、攻撃的で社会から孤立した人間になってしまう危険性がある。
  • 「他責グセの人」と上手に付き合うためには、まず相手の存在を認めつつ、自らの他責グセに気づかせる質問スキルが重要になる。上から目線ではなく、対等な立場で根気強く向き合う必要があるのだ。

サマリー

はじめに

 「このミスは私のせいではない」「給料が安いのは会社のせいだ」

トラブルの原因や責任を何でも他人や環境に求める人の顔が、職場や家庭において思い浮かぶ人も少なくないだろう。

著者の小日向るり子氏は、産業カウンセラーとして20年以上、6,500件超の相談を受けてきた専門家だ。

本書では、他責思考を持つ人の精神構造を心理学的に分析しながら、自分自身の他責グセを改善する方法と、他責思考の人との付き合い方の両面を解説している。

ただし著者はまず、こう断言する。

他責思考は特別な人が持つものではなく、誰もが本能として持っている思考の一つだと。

問題はその傾向がどれだけ強いかであり、著者が理想とするのは「ほどよく自責、ほどよく他責」というバランスのとれた状態なのだ。

他責思考という病

他責思考は特別な悪癖ではなく、人間が本能的に持つ自己防衛の一つである。

その対義語である自責思考と比べると、その位置づけが見えてくる。

あらゆる物事を自分の責任だと考えすぎると、心は壊れてしまう。

自責と他責のバランスをうまく保つことが理想的な思考であり、問題となるのはそのバランスが崩れたときだと著者は述べる。

厄介なのは、思考の癖というものを本人が自覚しにくいという点だ。

失敗するたびに他人や社会のせいにして何もしない人がいたとして、周囲はそれを面と向かって指摘することはほとんどない。

よほど親密な間柄でなければ、静かに距離を取るだけだ。

失敗を自らの糧にすることなく、周りから人がどんどんいなくなっていく。

周囲から人がいなくなれば、思考の癖を指摘してもらえず自ら気づくことはますます困難となるのだ。

「他責グセ」に潜む精神構造

著者は他責思考が固着してしまう要因を二つ挙げる。

一つ目は「合理化」一辺倒の防衛機制だ。

人間の心は、怒りや悲しみといった激しい感情から自身を守るためにさまざまな防衛機能を持っている。

例えば、辛いことを忘れたり、不安なことについて調べて安心するための知識を身につけたりすることがそうである。

私たちはこれらを適切に使用して精神の安定を保っているが、他責思考が定着してしまう人は、防衛本能の1つである「合理化」だけで物事を考えてしまう傾向がある。

合理化とは、不快なことが起きたときに理由を見つけて自分を納得させる行為だ。

この合理化の矛先を常に他者や環境に向けてしまうことが、他責思考の固着につながると著者は述べる。

二つ目は過剰な自己保護である。

悪いものはすべて他者や環境のせいだと定義することで自分を守ろうとする状態だ。

その根底にあるのは劣等感や低い自尊心であることが多い。

他責思考の人が正論を振りかざしたり、弱い立場の人に攻撃的になったりするのは、自らの弱さを隠すためだと著者は分析する。

変化を嫌い、同じ行動を繰り返すのも、この思考パターンの特徴の一つだ。

変わらない日常のなかで他者を攻撃して、わずかな間自尊心を満たすことができるが、根本的な改善となっていないためまた同じ行為を繰り返してしまう。

これらの行動の先に幸福感を得られることはない。

他責思考の影響

著者は、現代社会において他責思考の人が増えていると指摘する。

SNSの台頭と高齢化社会などを、他責思考が増えている背景として挙げる。

かつては身勝手な正義感を口にしても、届く範囲は限られていた。

周りに気づかれることもなくその声は消えていたであろう。

しかし、ネットが発達した現代では、何気なくつぶやいた言葉に共感や賞賛をもらえることがある。

これにより承認欲求に火がつき、さらに投稿して仲間を増やしていく。

匿名で情報を発信することができるSNSという仕組みは、他責グセの人と親和性が高いため、その傾向を助長する形になっている。

また、日本の年功序列文化は高齢者の他責思考に拍車をかけている。

「若造が指図するな」という言葉に象徴されるように、高度経済成長を支えた現役世代は、今の日本を作り上げたというプライドを持っている人も多い。

自分が敬われると思っている人は他責思考になりやすい。

こうした社会構造が、他責思考を持つ人を増やす土壌となっていると著者は述べている。

しかも、他責思考は自分で気づくことが困難という問題もある。

無意識のうちにパターン化してしまっているため、指摘されない限り気づかないままになることが多い。

他責思考が進んだ場合、攻撃的で社会から孤立した人間が出来上がる。

その人は、うまく思考することができず、他人が悪いと口にして何年経っても成長しない。

そして、最後にはメンタルを病んでしまう。

保身のはずが、気づいたら体を壊しているのだ。

著者が認める安定した心の状態とは、自責と他責がバランスよく混在する状態である。

だからこそ、偏りを生まない思考が必要なのだ。

他責グセの克服と周囲の対処法

他責グセは自覚しにくいが、少しでも「他責グセ」に気づけた時点で、すでにその傾向は弱まり始めていると著者は述べる。

大切なのは、気づいた自分を認め、不完全な自分をいたわることである。

そのためにはリフレーミングという概念を知り、練習を重ねることが効果的だ。

リフレーミングとは、物事の捉え方を変えることで、有名なものに「コップの水理論」がある。

半分水が入ったコップを見て、「あと半分しかない」と考えるのではなく、「まだ半分ある」とポジティブに考える。

目標は、自責と他責が「半々」になるように意識し、バランスの取れた思考パターンを習得することである。

一方で、私たちの身近にいる「他責グセの人」と上手に付き合うための対処法も存在する。

他責の人は自分の非を認めず、言い訳や被害者意識を抱えやすいため、まわりの人は大変な苦労を強いられる。

相手に振り回されないためには、まず相手の存在を認めつつも、相手に自らの他責グセを気づかせる質問スキルが重要になる。

上からではなく、対等な目線で根気強く付き合う必要がある。

相手が大切な人であれば、自分は他責思考をせずに、相手の手本になることも有効である。

具体的には、相手に『ありがとう』と感謝を伝える実践だ。

こちらが感謝の姿勢を示していれば、相手も自然と変化していく。

無い物への不満よりあるものへの感謝のほうが幸せであると気づけば、相手を責める気持ちがなくなっていく。

ただし、相手の言動に妄想が入ってくるような深刻なケースであれば、抱え込むことなく、医療機関の受診などの社会的支援につなげることも重要であると著者は提唱している。

他者を頼ることも立派な対処法である。

From Summary ONLINE

「誰かのせいで上手くいかない」と感じた経験は、誰にでもあるはずだ。

本書が優れているのは、他責思考を単なる悪癖として切り捨てるのではなく、誰もが持つ自己防衛本能としてフラットに分析している点だ。

私自身も気を付けなければと感じた。

自分の思考パターンを見直したい人にも、他責グセの強い人に振り回されて疲弊している人にも、手に取ってほしい一冊である。

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