インフォメーション
| 題名 | 健康を害するすべてのもの〜ビカミングバイオリミットレス〜 |
| 著者 | エリック・ネプーティ |
| 出版社 | 日本経営センター(フローラル出版) |
| 出版日 | 2025年7月 |
| 価格 | 1,980円(税込) |
本書は、最新の遺伝子医療、環境科学、社会疫学、行動科学の知見をもとに、
「現代人の健康を脅かすすべての要因」を一冊に まとめた決定版です。
【内容】どうして病気になるのか?
どうして体調を崩すのか?
どうして不調が続くのか?
食品添加物、化学物質、微量金属の影響
都市生活・現代の生活様式がもたらす見えない負荷
情報格差、教育格差による健康リスク
ストレス、孤独、社会的疎外が招く慢性疾患
ポイント
- 「バイオリミットレス」は、患者を利益の源泉として扱う傾向にある現行のモデルから、包括的な患者のケアに重きを置く、新しいモデルへと医療やウェルスケアのシステムを移行させるビジョンを描いている。
- 現代を生きる私たちを取り囲む食べ物、水、空気、衣類、日用品は人間の健康を蝕む化学物質や汚染物質にまみれている。こうした有害物質が自らの身体に与える影響とその対策を知っておくことは、病気の予防や生活の質の向上につながる。
サマリー
はじめに
本書は健康とウェルネス分野の先駆者であり、全米で30を超えるクリニックを運営するエリック・ネプーティ博士が推進する国際プロジェクト『バイオリミットレス』について、そのビジョンと具体例、将来的な展望をまとめた一冊だ。
本書の中で著者は現状の医療システムに警鐘を鳴らしつつも、これからの医療の在り方、健康との向き合い方についてダイナミックかつ革新的なビジョンを提唱している。
※基本的に、本書の内容は米国における医療インフラを基準として語られているため、その点を念頭に置いた上で読み進めてほしい。
バイオリミットレスのビジョン
バイオリミットレスは、主に2つのビジョンを掲げている。
1、ヘルスケアが事後対応型ではなく予防対応型であり、予防が当たり前で病気が例外である世界となること。
2、誰もが自分の健康を最適化するために、必要なリソースと知識にアクセスできるシステムが存在すること。
現在の医療やウェルスケアのシステムには、非効率や不公平、そして根本原因への対処を阻害する「事後対応的なアプローチ」が蔓延している。
病院ではしばしば、患者のケアよりも金銭的な利益が優先され、必ずしも患者にとって最善とは言えない場合でも、より収益性の高い治療や処置が優先されることがある。
また、患者の治療結果を大幅に改善し、長期的な医療費を削減できる可能性のある予防医療やウェルスプログラムよりも、即座に金銭的な利益をもたらす治療が優先されているケースも存在する。
こうした現状を踏まえ、バイオリミットレスは患者を利益の源泉として扱う傾向にある現行のモデルから、包括的な患者のケアに重きを置く、新しいモデルへと医療やウェルスケアのシステムを移行させるビジョンを描いている。
では、予防対応型のヘルスケアを実現するために何を行っていけば良いのか。
バイオリミットレスでは、遺伝子発現、細菌DNA、染色体とテロメアの健康、そして細胞の健康に焦点を当てたアプローチを採用している。
具体的なアプローチ事例のひとつには、遺伝子発現と一塩基多型の分析が挙げられる。
遺伝子発現(DNAの情報からタンパク質を作り出す過程)は個人の健康状態を決定する上で重要な役割を果たすが、
一塩基多型(DNAの中で人によって異なる部分)を分析することで、遺伝子発現に影響を与える遺伝子変異を特定することができる。
これによって、生活習慣を改善し、事前に病気を予防することが可能となる。
例えば、分析によって酸化ストレスに対する遺伝的素因を持つことが判明した人には、特定の抗酸化物質を投与し、食事内容の改善を行う。
こうすることで老化を遠ざけ、がんや糖尿病などの生活習慣病を予防するといった包括的なアプローチが行えるようになる。
バイオリミットレスの実践
ここまで、バイオリミットレスが掲げるビジョンとそのビジョンを達成する具体的アプローチの一例を紹介してきた。
バイオリミットレスが目指すビジョンのひとつである予防対応型のヘルスケアを実現するためには、私たち一人ひとりがヘルスケアに関する知識を持ち、対策を講じながら日常を送っていく必要がある。
本項では、私たちの健康知識を増強する手助けのひとつとして、日常に潜む毒の具体的な例を紹介していく。
また、毒であると誤解されがちな物質として塩を取り上げ、その真相を明らかにしていく。
日常に潜む毒
現代を生きる私たちを取り囲む食べ物、水、空気、衣類、日用品は人間の健康を蝕む化学物質や汚染物質にまみれている。
こうした有害物質が自らの身体に与える影響とその対策を知っておくことは、病気の予防や生活の質の向上につながる。
身近にある有害物質には次のようなものが挙げられる。
▷殺虫剤と除草剤
グリホサートはラウンドアップの有効成分であり、世界で最も一般的に使用されている除草剤のひとつ。
作物に散布され雑草を枯らすものだが、最終的には私たちの食卓にも上がってくる。
グリホサートは、がん、肝臓疾患、内分泌の撹乱など、さまざまな健康問題と関連していることが研究で明らかになっている。
※ラウンドアップ:グリホサートを主成分とする除草剤。1970年にアメリカで生まれ、日本を含む世界各国で使用されている。
▷粒子状物質(PM)
粒子状物質、特にPM2.5は、肺の奥深くまで浸透し、血流に入り込む可能性がある。
慢性的な曝露により、呼吸器疾患、心血管疾患、がんを引き起こす可能性が指摘されている。
▷化粧品とパーソナルケア製品
多くのパーソナルケア製品には、フタル酸エステル、パラベン、トリクロサンなどの内分泌撹乱物質が含まれている。
これらの物質はホルモン機能に干渉する可能性がある。
誤解されがちな物質:塩
塩は何千年もの間、人間の食生活に欠かせないものであり、健康と生存に不可欠な役割を果たしてきた。
しかし、現代の食事において塩はしばしば悪とされ、健康に与える影響について誤解が広がっている。
それは天然のオーガニック海塩と一般的な食卓塩(精製塩)が混同されてしまっていることから生じる誤解だ。
食卓塩は主に塩化ナトリウムで構成されており、多くの場合、ヨウ素や固結防止剤が添加されている。
また、漂白や添加といった製造過程を通して、天然のミネラルはほとんど失われている。
一方、天然海塩には、マグネシウム、カリウム、カルシウムなどの有益なミネラルや微量元素が豊富に含まれている。
ミネラル含有量の違いにより、海塩からは健康上のさまざまな効能が得られる一方、食卓塩は過剰摂取することで高血圧や心血管疾患などの健康被害を引き起こす。
一般的には健康のために塩分摂取量を減らすことが推奨されているが、著者を含めた多くの医療従事者が、高品質の天然海塩を適度に摂取することを推奨している。(天然塩の摂取量は一日あたり5〜10グラムが理想)
そうすることで水分補給が促進されるとともに副腎機能が高まり、活力全般を向上させることができる。
From Summary ONLINE
医療に携わる職に就いているわけでもなければ、既存の医療システムや私たちの健康を取り巻く環境に対して疑問を抱くことはあまりないだろう。
しかし、本書を読み、著者であるネプーティ博士が思い描くバイオリミットレスのビジョンを知ることによって、
現在私たちが置かれている状況の危うさに気づくことができる。
小手先の方法論を知るだけでなく、健康に対する視座そのものを高めたいと願う人にこそおすすめしたい一冊だ。