インフォメーション
| 題名 | きみのお金は誰のため |
| 著者 | 田内 学 |
| 出版社 | 東洋経済新報社 |
| 出版日 | 2023年10月 |
| 価格 | 1,650円(税込) |
ある大雨の日、中学2 年生の優斗は、ひょんなことで知り合った投資銀行勤務の七海とともに、謎めいた屋敷へと入っていく。
そこにはボスと呼ばれる大富豪が住んでおり、「この建物の本当の価値がわかる人に屋敷をわたす」と告げられる。
その日からボスによる「お金の正体」と「社会のしくみ」についての講義が始まる 。
元ゴールドマン・サックスのベストセラー作家が描く、青春「お金」小説!子どもでも楽しめて大人の教養になる!ラストで泣ける物語!
引用:東洋経済新報社
ポイント
- お金自体に価値はない
- 「働く」=「お金を稼ぐ」という言葉に自動変換している人は多い、これはお金の奴隷になっている証拠
- 人と人とのつながりを感じて、”ぼくたち”の範囲を広げて欲しい
サマリー
プロローグ
「しょせんは10キロの紙切れや」
その男は1億円の札束をたたいてそう言った。
学校からの帰宅途中、投資銀行で働く七海に謎めいた屋敷への道案内を依頼された優斗。
訪れた洋館の主人から聞かされた”お金の正体”。
日々の生活や人生の決断がお金だけに左右されないために、彼らとお金の謎を解き明かしていきましょう。
「お金自体には価値がない」
燃やされるお金
「お金に価値がないことは、簡単に証明できるで、毎年、大量のお金が燃やされとるんや」
ボスと呼ばれる怪しい男は得意げな表情で言った。
お金はただの紙切れ、紙幣が古くなると燃やして捨てられる。
その証拠に、古い紙幣は存在しない。
使っている内に紙幣は汚れたり破れたりする。
5年も使えばボロボロになるから、古い紙幣を捨てて、新しい紙幣を使う。
本当に紙幣自体に価値があるなら、古い紙幣を捨てる理由はない。
ニヤッと笑いながら話すボスに、優斗は納得してしまった。
水を1万円で売る方法
例えば、おいしいクッキーがあるが、クッキーを食べさせることとクッキーの味は別問題なのだ。
おいしくても食べないこともある。
逆にまずいクッキーでも食べさせる方法が存在する。
価値を感じていても、使うかどうかは本人次第で、価値があるから使うのではない。
「そういうことやで」とボスは指摘した。
税金に隠された秘密
まずいクッキーでも食べさせる方法に対する優斗の答えは、「部屋に閉じ込めてお腹を空かせれば食べる」と言うものだったが、「あてられてしもうたな」とボスが悔しそうな声を出した。
紙幣を使うようになったのも、明治になってから地租改正で、紙幣で税金を納めることになったからだという。
税金を払わなかったら警察に捕まり、土地を没収されるので必死になって紙幣を手に入れようとした。
つまり、お腹がすいた状態になったのだ。
クッキーと同じように、紙幣を使わせるためには、”使う必要性を作る”という答えは意外なものだった。
もし、仮想通貨でないと税金を納められないとなったら、みんなこぞって仮想通貨をほしがるだろう。
ボスの話を聞くうちに、優斗にもお金の正体が少しずつ見えてきた。
「ぼくたちはひとりじゃない」
ボスの訃報を受けてから2週間がたった。
どこかで生きているのではないかという幻想が頭をかすめた。
七海と二人で読んで欲しいとボスから預かった手紙。
ボスの柔らかい笑顔を思い出しながら、優斗はゆっくりと口を開いた。
「誰のために働くのか?」
自分や家族のためだと答える人は多いだろう。
「働く」=「お金を稼ぐ」という言葉に自動変換している人は多い。これはお金の奴隷になっている証拠だとボスは綴っている。
本来は、働くこと自体が、誰かのためになる行為そのものだ。
その行為にお金が絡むかどうかは本質的には関係ない。
1人ひとりが誰かの問題を解決しているから、僕らの社会は成り立っている。お金が社会を支えているわけではない。
お金というシステムを取り入れたことで社会は広がったが、そこには仲間意識のような実感は伴わない。
支え合っていると実感できる”ぼくたち”の範囲は逆にせまくなったように感じる。
君たちにとっての”ぼくたち”の範囲を広げてほしいということだ。
家族、学校の友人や会社の同僚、同じ国で生きる人々、そして世界全体。
過去の人や未来の人も含めて、”ぼくたち”になりえる。
社会のためを考えると言う意味もあるが、社会の一員と感じられた方がよい。
自分のためにもそのほうが孤独を感じなくなる。
もう一つ大事なことは、心から人を愛することだ。
家族でも恋人でも誰でもよい。
それによって、僕らの意識は大きく変わる。
”ぼくたち”という範囲に愛する人が加わるだけではなく、他者を愛することを知ると、その人がどう感じているかを考えるようになる。
自分と他者では見え方や感じ方が違うことに初めて気がつく。
お金は世界中の人々をつなげてくれる。
しかし、お金の奴隷になってはいけない。
人と人とのつながりを感じて、”ぼくたち”の範囲を広げて欲しい。
「お金もうけが好きな人なのに、どうして社会や未来の話をするのか不思議だったけど、いろんなことがあったのね。だから”ぼくたち”を広く感じられるのね」
「僕も、ようやく納得できた気がします。」
こうして、ボスの講義がすべて終わった。
エピローグ
「お金に価値はない。もっと大事なものがあるんや」
過去から現在、現在から未来への贈与で社会はできている。愛する人を守ろうと思うと、社会が他人事でなくなる。
ボスの言葉がよみがえる。
ボスのいた過去には戻れない。だけど、僕たちの前には未来がある。優斗は顔を上げた。
From Summary ONLINE
本書は「お金とは何か」について、ストーリー仕立てでわかりやすく解説してくれる一冊である。
本要約では、「お金自体には価値がない」「ぼくたちはひとりじゃない」の各章に着目し、本書の主張を一部要約して紹介した。
本書では、お金の奴隷にならないための正しい知識、お金よりも”大切なこと”が丁寧に語られている。
大人が読んでも楽しめる内容であることはもちろんのこと、お金について学びたい中学生・高校生にもおすすめできる一冊である。