インフォメーション
| 題名 | やさしい言葉で支配する |
| 著者 | ビッグボス(須藤 大志) |
| 出版社 | フォレスト出版 |
| 出版日 | 2025年9月 |
| 価格 | 1,815円(税込) |
言葉を少し変えるだけで状況を一変
セールス担当者から「これ、すごくいい話ですよ!」と言われたら、どう感じますか。
おそらく多くの人は「うさんくさい」「怪しい」と身構えるでしょう。
では、「これ、悪い話じゃないと思いますよ」と言われたらどうでしょう。
「少なくとも損にはならなそうだ」「話だけでも聞いてみようかな」と思う人はいるはずです。
このように、ほんの少し言葉を変えるだけで、相手が受け取る印象は大きく変わります。
すなわち、もしあなたが愚直に営業しても売れない、部下に心を開いてもらえないといった悩みがあれば、もっといえば、他人に振り回されてばかり、いつも遠慮を強いられて自己主張できないなど、コミュニケーションに不満があったとしても、言葉を少し変えるだけで状況を一変させることができるということです。
本書ではこのような、自分が期待する方向に相手を動かすフレーズをまとめました。
脳をハックする仕組まれたフレーズ
「どっちがいいですか?」
「ちょっとだけ想像してもらえますか?」
「逆に、これをやらないとどうなると思います?」
「一緒にやったら早く終わりますよ」
一見、よく聞くし、使いもするフレーズですが、状況を間違わなければ、他人を自分の思い通りにコントロールする言葉になります。
おそらく、多くのフレーズを見て「え?こんな普通の言葉でいいの?」と感じるでしょう。
しかし、人はコントロールしたい、利用したいという願望が見え透いた言葉には動かされません。
大切なのは、自分を思ってくれている、自分に利益をもたらしてくれる――そう感じさせる「やさしい言葉」です。
たとえその奥に、支配欲やわずかな悪意が潜んでいたとしても……。
コミュ障「相手の立場に立って考えよう」
コミュ強「相手をコチラの立場に立たせよう」
本書で紹介するフレーズすべてに、ある“仕掛け”が仕組まれています。
それが〝相手を自分の立場に立たせる仕掛け〟です。
「相手の立場に立って考えなさい」とは、良好なコミュニケーションのための、疑いようもない真理と考えられています。
しかし、現実はどうでしょうか?
「相手の立場に立ちすぎた人」ほど損をしているのです。
「相手の気持ちを考えて遠慮した結果、断れずに搾取される」
「相手のわがままを優先して、自分の主張は飲み込んでしまう」
「強く言えず、押しの強い相手のペースに巻き込まれる」
「相手の立場に立って考える」姿勢をあなたが見せても、相手があなたの立場に立って考えてくれる保証は一切ありません。
したがって、「相手の立場に立つ」のではなく、「相手を自分の立場に立たせる」という戦略的会話術が必要とされるのです。
この発想はコミュニケーションにおいて邪道と見なされてきましたが、こちらが「相手の立場に立つ」ならば「相手もこちらの立場に立たせる」のがフェアというもの。
そうした意識で言葉を選ぶと、パワーバランスが対等になり自分を優位な立場に立たせやすくなります。
本書ではそのためのフレーズをまとめています。
本書の構成について
序章では、まわりに振り回される人生から抜け出すために、本書全体を貫く考え方を解説します。それは、相手を「感情タイプ」と「論理タイプ」に分けてとらえること、そして「相手の立場に立つ」のではなく、「相手を自分の場に引き込む」ことです。第1章以降で紹介するすべてのフレーズは、この考えを土台に練り上げられています。
第1章では、こちらの要望を受け入れてもらい、相手を説得するためのフレーズをまとめました。〝お願いをする側〟から、〝お願いを受け入れられる側〟へと立場を変えましょう。
第2章では、なかなか行動しない、思い通りに動いてくれない相手の背中を押したり、うまく誘導するフレーズを紹介します。うまく使えば、好感度を上げることさえ可能です。
第3章では、相手を指導・注意したり、その意見に反論するためのフレーズをまとめました。部下に気をつかいすぎて注意できない上司が増えている昨今、ぜひ武器として活用してください。
第4章では、Z世代とのコミュニケーションに役立つフレーズを紹介します。上の世代には理解しにくい彼らの価値観を踏まえ、円滑な対話を生むための考え方です。
引用:フォレスト出版
ポイント
- 「相手の立場に立って考えなさい」とよく言われる。だが、現実のコミュニケーションでは相手の立場に立ちすぎると損をする。だからといって相手のことを蔑ろにすれば人間関係は壊れてしまう。そこでうまく立ち回るために重要になってくるのが、共感のフリをしつつ主導権を握る技術である。
- 提案やアドバイスをするときは、「すごくいい話なんです」ではなく、「悪い話じゃないと思いますよ?」というフレーズがおすすめ。人は、「良い」と断言されると疑うが、「悪くはないよね?」と言われると「たしかに悪くはないかも」と感じるものである。
- 口先だけの相手をうまく動かすには、その“一貫性”を刺激しよう。人は自分の信頼性を守りたいという欲求があり、自分の言葉には一貫性があると思いたいものだからだ。
サマリー
まえがき
相手の立場に立ってしまうあまり、まわりに振り回されてばかり、反論したくてもできない、そんな悩みを持つ人は多いだろう。
しかしその状況は変えることができる。
ポイントは、「自分を思ってくれている」「利益をもたらしてくれる」と相手に感じさせる、「やさしい言葉」を使うことである。
これを身につけて、振り回される毎日から“解脱”しよう。
相手をこちらの土俵に立たせる
相手の立場に立つと振り回される
「相手の立場に立って考えなさい」という言葉は、耳にタコができるほど言われてきただろう。
しかし、相手の立場に立って考えても、相手があなたの立場に立って考えてくれるとは限らない。
それどころか、自己中心的な申し出をしてきたり、わがままを言ってくる可能性すらある。
現実は、相手の立場に立ちすぎた人ほど損をしているのだ。
家庭や学校で教えられる「相手の立場に立て」は、他人と衝突しないためのマナーや道徳であり、対等な関係が築かれているという前提のうえに成り立つ。
だが現実のコミュニケーションには、パワーバランスが存在する。
相手が役職が上だったり、図々しかったりしたら、いくら相手の気持ちを考えても、それにズブズブ付け込まれるだけ。
だからといって、相手のことを蔑ろにしてグイグイ行けば、人間関係は壊れてしまう。
共感のフリをしつつ主導権を握る
そこで重要になってくるのが、共感のフリをしつつ、主導権を握る技術である。
たとえば営業をしていて、「他社のほうが安いんですよね」と値下げを要求されたとしよう。
そのとき、「わかります。うちも安くします」と言えば、「いい人」にはなれるが、「安くする人」にもなる。
しかし、こう返せば空気は一変する。
「たしかに安さって大事ですよね。ただ、定価の分だけの価値があると信じているからこそ、この価格にしているわけです。もし、私と○○さんが反対の立場だったら、どうでしょう」
このような「仮にあなたが私の立場だったら」という問いかけは、相手の頭のスイッチを一気に切り替える効果がある。
人は、自分の視点から離れた瞬間に初めて、相手の事情や苦労、損得を具体的に想像しはじめるようになるのだ。
自然と相手が納得してくれる依頼のフレーズ
相手にお願いを断られてしまったり遠慮してしまいがちな人に、「お願いを受け入れてもらえる人」になれるフレーズを紹介する。
警戒心が強い人に提案を受け入れてもらいたい
提案やアドバイスをするとき、ついつい「すごくいい話なんです」と力を込めてしまうことはないだろうか。
しかし、警戒心が強い相手には、押しの強さは逆効果になることもある。
そこでおすすめなのが「悪い話じゃないと思いますよ?」というフレーズ。
人は、「良い」と断言されると何か裏があるのではと疑うが、「悪くはないよね?」と言われると「たしかに悪くはないかも」と感じるものだ。
ただし、無表情や冷たいトーンでは嫌味に聞こえるリスクもあるので、柔らかい微笑みややさしい声音で伝えよう。
前向きな気持ちでお願いを聞いてほしい
「○○してくれると、とってもうれしい」は、相手のやさしさや奉仕の気持ちを引き出す、魔法の言葉である。
これは、善意に訴えるお願いのフレーズであり、相手は「自分の行動で相手を喜ばせることができる」と感じる。
そして前向きな気持ちで快く協力してくれるのだ。
人は、大切な人の笑顔を見るとうれしくなるもの。
心理学の研究でも、他者を喜ばせることで自分自身も大きな喜びを感じ、自己肯定感が高まることが実証されている。
厄介な相手を止めるフレーズ
他人への注意や反論は、関係性をこじらせる原因にもなるが、それを避けていたら自分が損をするばかりだ。
できるだけ角を立てずに相手を納得させるフレーズを覚えよう。
口先だけの人間をうまく動かしたい
口先だけで一貫性のない相手には、「〇〇ってことは、それだけの気持ちだったってことだよね」というフレーズが有効。
人は自分の信頼性を守りたいという欲求があり、自分の言葉には一貫性があると思いたいものだからだ。
たとえば、相手が自分から「やる」と言ったのに、約束を守らない場合。
「やるって言ったのに途中で投げ出すってことは、口先だけだったってこと?」と、一貫性を刺激しよう。
するとうまく相手を動かせる。
感情に訴えるのではなく、理性を使って相手の誠実さに疑問を投げかけるスタイルである。
固定観念に縛られていることに気づかせたい
「○○はこうするべき」と言いがちな相手に効果的なのは、「それ、具体的に誰が決めたルールなんですか?」というフレーズだ。
これは、相手が信じてしまっている既成概念に疑問を投げかけ、その前提を壊す狙いがある。
心理学者の実験では、人は無意識に他者の常識やルールに従いやすい傾向があり、その前提を明文化するだけで認知の再構築が起きることが示されている。
「誰が決めたの?」という問いかけにより、相手は考え直す契機を得られるのだ。
このフレーズは、社内のよくわからないローカルルールやルーティンにも有効である。
From Summary ONLINE
タイトルに、「支配」という言葉があるため、どんな内容だろうと身構えてしまうかもしれない。
しかし、本書は他人を支配している人のための本ではない。
むしろそれとは真逆、他人の立場に立ちすぎて振り回されてしまう人に向けたものだ。
他人に振り回される人生から解放されるために、キーとなるのが「やさしい言葉」。
よく聞くような「○○してくれるとうれしい」「悪い話じゃないでしょ」などの「やさしい言葉」をうまく使えば、相手を自分の土俵に引き込み、上手に動かせる(支配する)、というのが著者の理論だ。
本書には、すぐに使えるフレーズがたくさん紹介されている。
Z世代との対話にも触れているので、若者とのコミュニケーションに悩む上司にも参考になりそうである。