インフォメーション
| 題名 | 0311再起動 君たちに東日本大震災後の世界を託す |
| 著者 | 堀江 貴文 |
| 出版社 | 徳間書店 |
| 出版日 | 2011年6月 |
| 価格 | 1,540円(税込) |
東日本大震災後、東北そして日本はどう進むべきか。その道筋を照らすのはこの国で暮らすみんなの集合知。本書は「ソーシャルメディア」「経済」「心」の3テーマを軸に、ポスト3・11の希望あふれる未来像を提示するロードマップだ。著者の独創的な東北独立特区シミュレーションは必読。瀬戸内寂聴さんとの特別対談も収録。
ホリエモン渾身の書下ろしラストメッセージ。新生ニッポンの主役は君だ!
引用:Amazon
ポイント
- 地震発生後、重要と思われる情報をピックアップし、58万人のフォロワーに向け発信したら、数時間で60万人を突破していた
- ソーシャルメディアはたくさんの人が集まれば集まるほど、いろんなアイデアが最善に向けてセレクトされマッシュアップされていく
- グローバルな世界においてふさわしい国家は、マイクロガバナンス(極小統治機構)である
サマリー
はじめに
被災者を救いたい、日本を元気にしたい。
そんなだいそれたことではない。
読んだ人が、少しでもいいから希望を感じられる本にしたかった。
暗闇の中に差し込む一筋の光 ー そんな本に。
タイトルは「0311再起動」、この「再起動」にすべての思いを込めた。
私自身、刑務所に入ることで、一度電源を切り、もう一度電源を入れ直すのだ。
そして新しい人生を送ろう、そう思っている。
みんなにもそうしてほしいのだ。
3・11を再起動のきっかけにしてほしい。
それだけじゃなく日本という国自体を変えてくれと思っていると著者は語る。
ドキュメント3・11
大量フォロワーを持つ社会的責任
地震発生直後から精力的に「キュレーション」を行っていた。
タイムラインのなかから、地震直後の対処法、原発の状況、首都圏の交通状況など、重要と思われる情報をピックアップし、58万人のフォロワーに向け発信した。
これで十分のはずだった。
しかしさらに、安否確認の依頼が多数寄せられた。
「安否確認メディア」と化し、雪崩を打つように安否確認ツイートが著者のもとに押し寄せた。
日付を跨いで午前3時を回るころには60万人を突破していた。
「助けて」
そう叫んでいる人がいた。
だから、手を差し出した。
たぶん、そんな感じだったんだろう。
深い意味はなかった。
でも一度やれば期待されている分、やり続けるしかない。
タイムラインに溜まったメッセージを淡々と処理する。
自分から始めた以上、自分から辞めるわけにはいかなかった、と著者は当時を振り返る。
政府さえも動かすツイッターの力
福島第一原発事故はステーションブラックアウト(全電力喪失)によって冷却装置が停止したことで起こった。
当初は電源回復を目指したが、これに失敗し、事故処理はともかく外部から水をどんどん入れて冷やす方針に転換せざるえなくなった。
東電と政府の対策本部は自衛隊ヘリコプターによる散水と、高圧放水車で対応する計画を発表した。
微妙なやり方だと思い、タービンポンプ式の放水車を使う方法を思いつき、そのアイデアをツイートしたら、建設用コンクリート圧送ポンプ車を使うアイデアが投稿され、ネット上では事故対策の秘密兵器として注目が集まっていた。
みんなで知恵を出し合い、みんなで考える。
時にそれは煩雑になり、まとまりにかける。
しかし、ソーシャルメディアはたくさんの人が集まれば集まるほど、いろんなアイデアが最善に向けてセレクトされマッシュアップされていく。
東日本大震災における政府の対応には、多くの問題があったが、最悪の事態は回避され、なんとか踏ん張った。
しかしそれは、ソーシャルメディアの成果であったと著者は伝えている。
新国家計画
マイクロガバナンスに向かって
国家とは何か。どうあるべきか。
復興のアイデアを世界中に呼びかけ、みんなの集合知でマッシュアップし、最も支持の高かったものから採用する。
それが、基本構想であると著者は考えている。
国家=日本政府は当てにしない。というよりかできない。
そこを出発点にして思考してきた。
それは「国家」という社会維持システムは時代遅れではないか。という私の直感に基づいている。
グローバル化が進み、世界中でネット環境が急速に進んだ今、国家はかつてのような国家像を維持できなくなっている。
人・モノ・カネ・情報は、一瞬で世界を駆け巡る。
人々は国家の枠組みに関係なく、世界中の人と結びつき、会話を楽しみ、ビジネスを行い、モノや情報をやりとりしている。
事実、自分の好きな場所(国)で好きな仕事をして暮らす「世界市民」とも言うべき人が増えている。
カネを稼げる人は「国家」を捨てるようになるのだ。
グローバルな世界においてふさわしい国家は、マイクロガバナンス(極小統治機構)である、と著者は主張する。
放射能汚染地区に宇宙港を
東北復興において、福島第一原発事故は避けて通れない。
今後長期にわたる事故処理が必要となる。
その資金をどう調達するか。
次に、住民が避難した広大な跡地を、どう再利用するか。
その答えが、宇宙港、と著者はいう。
もちろん、そのためには、いろんな規制を撤廃する必要はあるが、言い換えれば、帰省さえ撤廃すればアジア初の宇宙港になるのだ。
やはり、ここでもマイクロガバナンスは不可欠なのである。
かつてジョン・F・ケネディは、こう言った。
「国家が私たちに何をしてくれるのかではなく、私たちが国家に何をするのか」国のマスター(主人)は国民であり、国に依存せず自立していこう、そう説いているのだと著者は考えている。
おわりに
東日本大震災を受けて、日本は大変な局面を迎えたが、必要以上に嘆き悲しむことはない。
これは「チャンス」なのだから。ようやく日本が生まれ変われる最大の好機なのだ。
夜のことを考えるより、夜が明けた「未来」に思いを馳せよう。
新しい日本で自分たちが楽しく元気に暮らしている姿を想像するのだ。
イメージをぐんぐん膨らませるのだ。
楽しくなってこないか。
明るい気持ちにならないか。と著者は締めくくる。
From Summary ONLINE
本書は、東日本大震災の一連の動向とライブドア事件により収監が決まった直後の著者の心境とを重ねて、今後の日本の向かうべき指針を伝える一冊である。
本要約では、ソーシャルメディアの持つ力とマイクロガバナンスに着目し、著者の提言とともに紹介した。
本書では、東日本大震災の復興に向けたさまざまな提言がされている。当時を振り返り、様々な視点で描かれた提言から新たな気づきを得られる。
堀江氏のファン以外の方、クリエイティブなアイデア発想、企画業務を行うビジネスパーソンにもおすすめできる一冊である。