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【読書を最高のエンターテインメントに 本が大好きになる図書館の使い方】

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インフォメーション

題名読書を最高のエンターテインメントに 本が大好きになる図書館の使い方
著者つのだ 由美こ
出版社秀和システム新社
出版日2025年5月
価格1,760円(税込)

 

 「ラ・ラ・ランド」「耳をすませば」「トゥルーマンショー」など数々の映画に、図書館や司書が出てきます。研究者のあいだでは、こうした図書館や司書が出てくる映画を「図書館映画」といいます。本書は、図書館が苦手だったけれど映画のおかげで図書館好きになった司書が、38本の図書館映画の見どころや裏話を紹介しながら、図書館の使い方と読書することの楽しさと魅力をお伝えします。映画を通して意外な図書館の使い方、楽しみ方、遊び方がわかります!

引用:秀和システム新社

ポイント

  • 映画に図書館が登場する時は必ず「何か」が起こり、それは高揚感をもたらす遊園地のよう。本書は図書館や読書の楽しさを見出す。
  • 近年のSNSの発達で人との繋がりに疲れている人が多いため、1人での行動が人気になりつつある。静かに過ごせる図書館は最適の場所だ。
  • 歴史的資料や古い記録を調査するときは図書館を勧める。図書館には誰も知らない、または忘れ去られた情報が眠っている。

サマリー

はじめに

図書館のイメージ

「子どものころは図書館に通っていたのに、大人になると行かなくなってしまった」という人が多いのではないでしょうか?

物音を立てないように静かにしなければいけない雰囲気でなかなかリラックスできない。

大人になるにつれ、書店やおしゃれなブックカフェには行くのに図書館には足を運ばなくなる。

図書館に対して様々な理由でネガティブな印象から離れた人も少なからずいるだろう。

著者もかつては同じだったが、今は図書館の司書をしている。

それはなぜか。

図書館と仲直りの理由は、映画にあった。

まるで遊園地のような図書館

映画好きの著者は、映画内で図書館が現れる時、「何か」が起きるというパターンを発見する。

例えばホラー映画で主人公が怪奇現象に遭い、ピンチの際に向かう先は意外にも図書館なのである。

恋愛映画では本をきっかけに2人が接近したりデートの場所になったりする。

主人公がピンチを切り抜け、チャンスをつかんで幸せに向かう舞台として、図書館は選ばれることが多いのである。

映画は、映画編集者によって莫大な映像素材を隈なくチェックし2時間足らずの作品に落とし込む。

つまり、完成した映画に出てくる図書館、司書、本には制作側の大事な意図が込められているのだ。

このように、図書館や司書が登場する映画を「図書館映画」と呼ぶ。

映画の中の図書館は、ハラハラ・ドキドキ・ワクワクが詰まった遊園地のよう。

映画を通して、図書館や読書の楽しさをもっと多くの人に届けたいという思いから本書は誕生した。

本書では、色んな映画のシーンの説明や制作の裏側、また実際に行われている図書館の催し物など多岐に渡って紹介されている。

観たことのある映画でも図書館に注目して観てみるとまた違った感想が抱けるのではないだろうか。

図書館での出会い

出会いの場所

『耳をすませば』(集英社)で男女が出会うきっかけになったのは「ブックカード」だ。

今の公共図書館はバーコードを読み込んで貸出をするのが主流だが、以前は手作業で紙を使用していた。

『耳をすませば』のように、貸出日・氏名・返却日が書かれたカードを使って貸出する方法をニューアーク式と言う。

その本を過去に誰が借りていたのか分かる方式だ。

ブックカードに名前が書いてあることが夢のような出会いの鍵となるのだ。

SNSと図書館

1998年に公開された『トゥルーマン・ショー』をピーター・ウィアー監督が「アンドリュー・ニコルの脚本は、未来を予言するような側面がある」と話している。

この予言は現代のSNSに繋がり、誰もが主役となり常に世界中に発信するところが映画とよく似ているのだ。

また、SNSは常に他人と繋がっているために息苦しさや疲れを感じることが多い。

そのためか、1人で行動するのが人気になりつつある。

図書館は1人で過ごすのに適した場所であり、1人でいても浮かない。

自分のペースも乱されることなく、人目を気にすることなく過ごせる。

かつて、古代エジプトの図書館には「魂の診療所」と言う言葉が掲げられていた。

図書館でリラックスして過ごすことで、本心を再考し、静かに考えたり、エネルギーを溜める。

そうすると映画のトゥルーマンのように新たな1歩を踏み出せるはずだ。

質問は司書に

探している本や知りたい情報について司書に質問して良い。

「レファレンス」「調査相談」と呼び、メールや電話などで相談できる図書館もある。

本のタイトルが思い出せないときも分かる範囲で伝えれば司書がヒアリングをして調べてくれる。

曖昧な質問をしても大丈夫だろうかと今まで躊躇していた方は、心配せず聞いてみよう。

図書館には住める?

図書館に住んでみたいと思ったことはあるだろうか。

本が好きな人にとって図書館に住むことを夢見る人は多い。

実は本当に住んでいた人もいて、哲学者・数学者で司書をしていたドイツ人は亡くなるまで図書館に住んでいた。

実際は司書よりも管理者の方が一般的だったようだが。

公共図書館では図書館に住みたいという願いを叶えようと館内に宿泊できるイベントを開催している。

一日中読書をすることが可能で、またそれぞれの場所により、お菓子が用意されていたり近隣の温泉施設への送迎があったりもする。

ただ競争率が高いので、著者は図書館の上のホテルに宿泊することを勧めている。

例えば、和歌山市民図書館(和歌山県)はホテルが同じ複合施設内にあり、小田原駅東口図書館(神奈川県)は上の階にホテルがある。

どちらも本の貸出はもちろん、ホテルの部屋に持ち帰ることも可能だ。

同じようなホテルはきっと他にもあるので調べてみると良いだろう。

図書館はサードプレイス

家庭や学校、職場に事情があり、図書館が唯一の安心できる場所になることは珍しくない。

例えば、館内での自習が許可されている図書館では家で安心して勉強できない学生にとっての心の拠り所となるし、勉強に疲れた時は小説やライトノベルを読めるのでリフレッシュにもなる。

自習に関しては公共図書館によって考え方が異なり、司書と利用者の間でも賛否両論が事実としてある。

だが著者は、居場所がないと感じたら遠慮なく図書館に来館することを勧めている。

図書館は、サードプレイス🟰自宅、職場・学校以外に安心してすごすことのできる第三の居場所だと強調している。

図書館で宝探し

映画『ナショナル・トレジャー2』の舞台となったのはアメリカ議会図書館。

蔵書数は1億7800万点以上(2023年)で世界最大規模の図書館だ。

蔵書しているものに歴史的資料から地図まで数多くある。

このように歴史あるものや古い記録を詳しく調査をするときは図書館がとても役に立つ。

ネットで情報を探すのは便利なツールだが世の中に出回ってない専門知識を調べるなら図書館が最適だ。

宝探しのように誰も知らない情報を探すならぜひ図書館へ。

From Summary ONLINE

図書館が登場する映画が惜しみなく様々な切り口から紹介されている。

映画の制作の裏側や監督の言葉なども記されており、観たことのある映画でも本書を読んでから観直してみると新しい発見ができるだろう。

図書館は本を読むだけでなく実は色んな催し物や使い方があることも教えてくれる。

図書館から足が遠のいていた人は本書をきっかけにまた通ってみては。

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