インフォメーション
| 題名 | 「働きがい改革」に本気の上司がチームを覚醒させる: 上司も部下も幸せになるマネジメントの極意 |
| 著者 | 前川 孝雄 |
| 出版社 | 合同フォレスト |
| 出版日 | 2025年7月 |
| 価格 | 1,760円(税込) |
“上司の醍醐味”は、一度知ったらクセになる
醍醐味1: 一人ではできない大きな仕事を実現
醍醐味2: 部下が一皮むける瞬間に関わる喜び
醍醐味3: リーダーとして成長する実感
「残業が少ない」「給料が高い」「有休が取りやすい」
だけの”働き方改革”から
↓
「持ち味を見出す」「仕事を任せる」「努力を認める」
一歩先の”働きがい改革”へ
管理職を”罰ゲーム”から”誇れる仕事”に!
会社が変わるのを待っていても目先の状況は変わりません。
まずは上司自身ができる範囲で動き始めましょう。
「働きがい改革」は 現場の第一線で活躍する上司から始まるのです。
さあ、上司の本領と働きがいを取り戻しましょう。
\500社以上で実証された、上司の自信を手に入れるノウハウ大公開!/
引用:合同フォレスト
ポイント
- 「働きがい」の実現には、日々部下をマネジメントする上司が「働きがい」の意味と意義を理解し、リーダーシップを発揮して現場の「働きがい改革」を推進していくことが求められる。
- 人材育成において、上司は部下一人ひとりの意欲と可能性を信じ、その持ち味が強みとして開花できるよう後押しする存在である。すなわち「管理職」ではなく「支援職」であると自覚すべきだ。
- 働きがいに満ちた上司が増えれば、1on1ミーティングの運用に苦心しなくとも、若手は自然にロールモデルを見出し、管理職を目指す社員も増えていくだろう。
サマリー
はじめに
働く人を幸せにするのは「働きがい」である。
近年、働き方改革によって職場の「働きやすさ」は格段に向上してきた。
しかし、日本人のワークエンゲージメント(仕事にやりがいを感じ、熱心に取り組み、活力を得ている状態)は依然として極めて低く、多くの人が働く幸せを実感できていないのが現状である。
大切なのは「働きやすさ」ではなく、「働きがい」の実現だ。
そのためには、日々部下をマネジメントする上司が「働きがい」の意味と意義を理解し、リーダーシップを発揮して現場の「働きがい改革」を推進していくことが求められる。
部下から信頼され、「ついていきたい」と思われる上司は、部下の「働きやすさ」だけでなく「働きがい」を第一に考えている。
そして、部下のワークエンゲージメントの低さや職場の困難な状況を会社のせいにするのではなく、自らの責任として受け止め、本気で「働きがい改革」に取り組むことでチームを覚醒させているのである。
働きがいを育む上司力とは
現場で人が育つ3つのステップと上司による支援
人材育成において、上司は部下一人ひとりの意欲と可能性を信じ、その持ち味が強みとして開花できるよう後押しする存在である。
すなわち「管理職」ではなく「支援職」であると自覚すべきだ。
上司の本来の役割は、部下に指示命令をして従わせることではない。
部下が自律的に働ける環境を整え、一人ひとりが働きがいを感じながら成長・活躍できるように寄り添う「伴走者」であることを心得たい。
著者は、人が仕事を通して成長するには3つのステップがあると考える。
ステップ① 任される
ステップ② やり遂げる
ステップ③ 振り返る
この「3つのステップ」を上司側から見ると、次のような「支援」となる。
上司は部下を育て活かすために、これらすべてに関わる必要があるのだ。
支援① 任せる
多くの管理職がつまずきやすいのは、この第一段階「任せる」である。
部下の実力より少し重い仕事を託すには勇気が要るからだ。
「自分は本当に任せているだろうか」と、立ち止まって振り返ってほしい。
支援② 応援する
任せた仕事の主体者は部下であり、上司の役割は応援し続けることである。
安易に答えを教えるのではなく、軌道修正に気づけるよう問いを投げかけたり、必要に応じて人脈を紹介したりすることで支えるのだ。
支援③ 内省させる
節目には、部下がやり遂げた経験を振り返れるように導くことが大切である。
単に褒めるだけでは、学びや喜びを十分に得られないかもしれない。
成功要因や失敗要因を学習材料と自覚させ、次のチャレンジにどう活かすかを本人に考えさせ、腹落ちさせることが求められる。
部下自身の「3つのステップ」と、上司による「3つの支援」がかみ合うとき、部下は働きがいを高めながら成長し続けることができるのである。
上司自身の働きがいを取り戻そう
長年、様々な企業・団体の人材育成を支援するなかで痛感するのは、現場の管理職の業務負荷が限界に近づいているということである。
職場の「働き方改革」に奔走しつつ、激変する環境への対応が、すべて第一線の管理職に重くのしかかっているのだ。
経営者や人事は「社員を活かす鍵は現場マネジメントにある」として、管理職層への期待をいっそう高めているが、当の上司たちは過重な負担と多忙さの中で疲弊するばかりだ。
皮肉なことに、そうした上司の姿を冷ややかに見る部下は、昇進意欲を失っていくのである。
上司の働きがいを取り戻すためには、経営や人事を含め、組織全体で生まれ変わることが不可欠だ。
そのためには、上意下達の経営を改め、現場管理職に権限と裁量を与え、内向きの事務業務や社内調整業務を減らすこと。
「自分がやった方が早い」とプレイヤー業務に陥りがちなプレイングマネジャー制度も見直し、管理職がマネジント業務に集中できる環境を整えること。
さらには、属人的な経験値では立ちいかなくなってきた人と組織を動かす上司力を学ぶ機会を提供することも必要だ。
こうして、管理職が本来のマネジャーの仕事に打ち込み、上司の醍醐味を感じられるようにするべきだ。
働きがいに満ちた上司が増えれば、1on1ミーティング(上司と部下が定期的に1対1で行う対話の場)の運用に苦心しなくとも、若手は自然にロールモデルを見出し、管理職を目指す社員も増えていくだろう。
まず上司らがワクワクしながら働こう
心ある経営者や上司層は、「若手を育てるために何ができるだろうか」と考えがちである。
若手が安心して話せる環境を整え、1on1ミーティングやコーチングでじっくり耳を傾け、適切に励まし導くことは確かに重要だ。
しかし、同時に省みてほしいのは、上司自身が今後のキャリアや人生に希望を持ち、イキイキと、そしてワクワクしながら働けているかどうかである。
「昔はよかった」と過去を懐かしみ、自分の経験や成果ばかりを語ってはいないだろうか。
上司や先輩世代がいつまでも同じ場所にとどまり、従来通りのやり方に固執している限り、若手がのびのびと創意工夫を発揮する機会は訪れない。
閉塞感が漂ういま求められるのは、上司世代が現在の立場や職位への執着を手放して、自らの未来に希望を見出し、果敢にチャレンジする姿を後輩たちに示すことである。
From Summary ONLINE
本書は、上司自身の働きがいを高めることで、部下や組織全体の活力を引き出すマネジメント手法を解説している。
著者が支援する企業の経営層や人事担当者から増えている相談の一つに、社員の昇進・昇格意欲の低下がある。
この「昇進したくない症候群」ともいえる傾向は、業種を問わず日本企業全体に広がっているのだ。
責任は重く、見返りが少ないとみられる管理職。
しかし今一度、本書を熟読し「上司力」を高めることで、部下と共に働きがいのあるダイナミックな仕事の達成が可能になるのだ。
「部下のやる気は上司の覚悟から生まれる」というメッセージが特に印象に残った。
すべての上司に送る、部下のモチベーション向上と組織活性化に向けた具体的手法を学べる有益な一冊である。